災害の間接的影響も重要

 

 地震や台風・洪水などの災害が起こった際、その直接的な影響を防ぐための、防災・減災対策は重要です。例えば水害であれば、河川の氾濫や外から家に水が入ってくることを防ぐ対策を行ったり、早めに安全な場所へ避難したりすることは大切ですし、非常用品や消火の備え、地域の防災マップの確認や、家族などとの前もっての話し合いも大切です。

 その一方で、災害の影響はその災害が起こった直後だけにとどまりません。そして、その災害の直接的な影響だけにもとどまりません。水害による影響は、水が引いたら、全て元通りというわけにはいきませんし、水が引いても環境が変わり、私たちの生活もさまざまに変わってしまうため、それに伴う健康への影響を受けてしまいます。

 そこから少しずつ立ち直っていくのが復興であり、そのスピードには個人差があります。私たちが震災と原発事故でも経験した通りです。

 ほかの災害とも同じく、原発事故後は、放射線被ばくに伴う直接的な影響にとどまらず、さまざまな間接的・二次的な健康影響が問題になり、後者の影響は大きいものでした。災害関連死はその最たるものの一つです。このような視点は、チェルノブイリ原発事故後にも同じように問題となったはずですが、大きくは注目されていませんでした。また、このようなことは、県内におられる皆さまにはよく知られていることと思いますが、県外の方々にはあまり伝わっていないのも現状です。