震災直後、白血球影響なし

 

 災害の影響はその災害が起こった直後だけにとどまりません。災害後も環境が変わり、私たちの生活もさまざまに変わってしまうため、それに伴う健康への影響を受けてしまいます。原発事故後も同様に、放射線被ばくに伴う直接的な影響にとどまらず、生活環境が変化するためにさまざまな間接的・二次的な健康影響が問題となりました。

 そのような中、県民健康調査の中の一つである「健康診査」では、生活習慣病に重点を置いて、検査が行われてきました。その結果、震災後には肥満・高血圧・脂質異常(コレステロールが高い)・糖尿病・腎機能障害・肝機能障害・高尿酸血症・多血症の増加がみられました。避難などによる生活環境の変化が影響したことが考えられています。

 これまで紹介してきたように、糖尿病のように今現在も課題であるものもありますし、子どもの肥満のように、震災後悪化したが、その後、全体として改善しているものもあります。

 また、健康診査では、血液の中の白血球の数と種類についても調べています。白血球はたくさんの放射線を浴びると、その数が減ったり、いくつかある白血球の種類が偏ったりすることが知られています。震災直後の検査では、そのような白血球の数の変化や種類の偏りはみられず、放射線の直接的な影響は確認されませんでした。