大量の放射線、骨髄に影響

 

 県民健康調査の中の一つである「健康診査」では、生活習慣病に重点を置いた検査が行われてきました。肥満・高血圧・脂質異常(コレステロールが高い)・糖尿病・腎機能障害・肝機能障害・高尿酸血症・多血症の増加など、生活環境の変化が影響した健康課題が報告されています。

 その一方、「健康診査」では、白血球の数の変化や種類の偏りはみられていません。

 私たちの骨の中には、骨髄という血を作る工場があります。この工場では、酸素を運ぶ赤血球や、ばい菌と戦う白血球、出血を止める血小板など、血液の重要な成分が作られます。放射線を大量に浴びると、その工場がダメージを受け、それぞれの成分が減ってしまいます。放射線をたくさん浴びると、免疫力が落ちるとか、血が止まらなくなるとかいった話は、このような血液の成分が大きく減ることで起こります。

 今回の原発事故に比べ、放射線を一度に100倍や千倍ほどの桁違いに浴びるような場合には、確かに血液成分は減ります。しかし、たくさん浴びていない場合には、血液成分は減りません。今回の事故に伴う放射線の量自体も、血液成分が減るようなレベルではなかったことに加え、実際に採血検査結果から、血液成分が減っていないことが確認されています。