生活習慣変わり多血症に

 

 量の放射線を浴びると、骨髄という血を作る工場がダメージを受け、血液成分は減ってしまいます。今回の事故に伴う放射線の量自体が、血液成分が減るようなレベルではなかったことに加え、県民健康調査の一つである「健康診査」の結果から、白血球の数が減ったり、種類が偏ったりといったことも見られていません。

 その一方で、「健康診査」の結果から、多血症の増加が認められています。多血症とは、血液の中で酸素を運ぶ役割を持つ、赤血球が増えてしまうことを指します。血が濃くなる、ドロドロになるという表現の方が分かりやすいかもしれません。血圧が上がったり、増えすぎると血管が詰まりやすくなったりします。

 この多血症は、血液の成分が増えるわけですから、放射線を浴びること自体では起こりません。むしろ、喫煙や生活習慣病、ストレスなどで起こることが知られています。

 実際に県民健康調査の結果からも、多血症は男性に多く、喫煙や肥満・糖尿病といった生活習慣病と関係していました。原発事故後の血液の量の変化も、放射線の直接的な影響ではなく、生活環境が変わることによって起こったことが分かっています。