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【11月18日付社説】福島市長に馬場氏/刷新感ある施策の実現図れ

2025/11/18 08:10

 任期満了に伴う福島市長選で、元衆院議員の新人、馬場雄基氏が初当選した。馬場氏は33歳で、県選管に記録が残る1947年以降、県内最年少の市長となる。4年の任期中、県都である福島市をどのように活性化していくのかが問われている。

 馬場氏は、JR福島駅東口の再開発などを主要な争点とし、「閉塞(へいそく)感を打破する」と訴える選挙戦を展開した。自民党や立憲民主党の一部県議の支援に加えて、遊説や交流サイト(SNS)を駆使した無党派層の取り込みも進め、現市政への不満の受け皿となって現新3人の争いを制した。

 福島駅周辺を巡っては、東口の再開発が資材高騰などで規模が縮小し、開業時期も当初計画から3年遅れの2029年度となっている。西口についても、イトーヨーカドー跡地の利活用が不透明なままだ。開発が進まない状況が続けば、県都の玄関口としてのイメージが損なわれる。馬場氏は早急に、駅の東西や周辺地区を連動させた中心市街地活性化の具体的な方策を打ち出すことが重要だ。

 福島市の人口は、15年に29万4000人超だったが、10年間で約2万5000人減少した。特に若者の流出が顕著とされ、学生や子育て世代が地元に定着する環境づくりが急務になっている。福島民友新聞社の出口調査でも、最も重視する政策を聞いたところ、最多は駅周辺の活性化だったが「医療・福祉の充実」や「人口減少、少子化対策」「教育・子育て支援」の充実を求める声が目立った。

 馬場氏は、市の課題を「見える化」するため、就任から100日以内に人口動態などを分析したデ

ータブックをまとめ、数字と実績に基づき政策判断する考えを示している。馬場氏には、子育て世代に近い年齢の市長として、データに加え現場の声を丁寧に聞き、市民が変化を実感できる施策を立案していくことが求められる。

 投票率は47.34%で、過去最低だった前回を12.55ポイント上回った。その背景には、有権者の市の現状に対する危機感があったとみられる。かじ取り役を担う馬場氏の当面の課題は、現職を支持した複数の政党の県連や支部、各種団体との関係をどう構築するかだろう。

 衆院議員を2期経験しているとはいえ、地方行政の手腕には未知数の部分がある。市政運営が初めから空転すれば、選挙で寄せられた期待は急速にしぼむ可能性がある。馬場氏は、幅広い合意がなければ行政は円滑に進まないことを肝に銘じながら、県都の発展を目指してほしい。

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