【59市町村・この10年】バイオマス施設が開所 鮫川村

 
輸入乾草をトラックに積み込む畜産農家=2012年7月

 農業や畜産業が基幹産業の村は、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質の影響を受けた。

 2012(平成24)年2月、牛用飼料に含まれる放射性セシウムの暫定許容値が、肥育牛・乳用牛に対し1キロ当たり300ベクレルから100ベクレル、繁殖牛は同3000ベクレルから100ベクレル以下に厳格化されることが通知された。これに伴い、村内の身近な土手草などを牛に与えることができなくなった。

 村は飼料の購入費がかさむことによる農家の廃業を懸念し、12年4月、畜産農家の負担を軽減するために輸入乾草を支給した。畜産農家への現物による支援は当時、県内初だった。

 13年2月には、震災と原発事故の影響で稼働を見合わせていた、落ち葉や家畜の排せつ物、もみ殻などを原材料に良質の堆肥を作るバイオマス変換施設「村豊かな土づくりセンター」が開所した。愛称は「ゆうきの郷土(さと)」。化学肥料を減らした農産物を販売することで農家の所得向上、農業振興につなげていく。