【59市町村・この10年】農畜産業の再生へ前進 葛尾村

 
震災後初めて牛舎に入れられる乳牛=2018年9月

 東京電力福島第1原発事故により、2011(平成23)年3月14日、村民約1500人が会津地方などに全村避難した。地震による直接の死傷者はいなかったが、外出先で津波に襲われた村民1人が行方不明となっている。

 村は役場機能を会津坂下町に移転、その後三春町に再移転した。学校教育は会津地方や三春町、県外で区域外就学を実施。13年度から三春町の旧要田中校舎を借り葛尾小、葛尾中を再開させた。

 16年6月、帰還困難区域の野行地区を除き避難指示が解除された。その後、村内で小、中学校や幼稚園、診療所が順次再開し、村民が震災前と同じように生活できる環境がほぼ整った。解除後、基幹産業の農畜産業の再生や企業誘致による雇用確保などが進められている。2月1日現在の村内居住者数は431人で、震災当時の約3割の規模。このうち約100人は新規転入者に当たる。村民の多くは三春町や郡山市などで今も避難生活を続ける。