【59市町村・この10年】駅周辺に複合商業施設 新地町

 
市街地整備事業で文化交流センターや複合商業施設などが整備されたJR新地駅周辺=今年2月

 東日本大震災による津波で110人が犠牲となり、浸水区域は町の総面積の5分の1に及んだ。津波などで630世帯の家屋が被災。町は防災集団移転促進事業で2013年から順次、災害町営住宅や被災高齢者共同住宅の入居を進めた。元の地区のコミュニティーが維持できるよう住民ニーズを酌んだ「オーダーメードの再建」として日弁連などに評価された。

 JR常磐線新地駅や周辺の線路も流失したが、駅舎は約300メートル内陸に移設、再建された。19年7月には釣師浜海水浴場が再開、津波で流失した釣師地区に防災緑地公園やパンプトラックが整備された。

 また、復興の中核事業として新地駅周辺で市街地整備事業が進んだ。宅地造成のほか、文化、スポーツ、商業施設などが整備され、20年11月に完成式典が行われた。町内の液化天然ガス(LNG)基地から天然ガスを取り込み、エネルギーセンターで生産した熱や電気を施設に供給する実証事業も進められている。