機能性吸着材製造のANION(アニオン、東京都)は23日、南相馬市小高区の飯崎産業団地に南相馬工場を開業した。橋などの補修材として使う機能性吸着材を製造する。11月にも本格稼働し、12月の出荷を目指す。2029年には年間45トンの生産を見込む。
同社は総合建設業の日本国土開発(東京都)の子会社で茨城県にも生産設備を構えるが、量産体制を見据えて初めて工場を建設した。製造する機能性吸着材は樹脂やモルタルに混ぜ、橋や下水道管などの補修材として活用される。塩害による鉄筋の腐食防止などにつながるという。
南相馬工場では、最大で年間約100トンを製造でき、当面は国内の建設会社などに供給する予定だが、海外への販売も視野に入れる。また塩害対策だけでなく、塗料や止水材などの化学的浸食対策を見据えた吸着材の開発も検討する。7~8人が勤務し、6人を地元から雇用、敷地内には事務棟も構えた。
披露式が23日、同工場で行われ、関係者が完成を祝った。大野睦浩社長は「インフラの長寿命化に役立てられれば」と述べた。
同団地は、旧金房小と小高西部運動場などの跡地に市が整備した。門馬和夫市長は「小高の復興の一つのシンボルとなる」と話した。
