ふるさと納税89億円、昨年度の県内 4年連続で最高額更新

 

 県内59市町村が2023年度に受けたふるさと納税による寄付受け入れ額(速報値)が89億546万円となり、22年度の61億3824万円から4割以上増加する見通しになったことが9日、県への取材で分かった。4年連続で過去最高を更新する。23年10月のルール変更で寄付の駆け込みが相次いだことに加え、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出後に本県水産業を応援する動きが全国に広がったことも要因とみられる。

 寄付受け入れ額の上位自治体と県内総額の推移はそれぞれ【表】【グラフ】の通り。福島市が14億5863万円(前年度比23%増)と4年連続の県内最高額で、唯一10億円を超えた。返礼品として旬の果物が定期的に届く「フルーツ定期便」の選択肢を増やしたほか、ウェブサイトの広告配信に工夫を凝らしたという。

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 22年度実績に対しては40市町村が上回り、19市町村が下回った。特に22年8月に初めての一部避難解除を迎えた双葉町は12.6倍と急伸。返礼品は地場産とする規定などにより用意できていなかったが、多くの善意が向けられた。今後は返礼品を充実させ、復興と感謝を伝えるという。このほか白河、本宮、会津若松の3市は22年度比3倍、柳津、古殿、西郷の3町村は同2倍以上に増えた。

 総務省は23年10月、返礼品代や送料を含む経費の算定ルールを厳格化。これまで対象外だった経費も合算して寄付額の5割以下に抑えるよう求めた。多くの自治体は返礼品を縮小する「実質値上げ」などの対応を取ったため、9月末にかけて寄付が集中した。

 加えて本県では23年8月の処理水放出開始後、浜通りを中心に増加した。9月の豪雨被災も重なったいわき市は寄付額が9億2148万円に上り、22年度から67%増えた。大熊町(同72%増)、南相馬市(同46%増)なども伸び幅が大きい。

 総務省の集計(確定値)によると、制度の定着に伴い、受け入れ額は全国的に増加傾向にある。本県で08年度に1億3千万円余りだった寄付額は19年度以降、毎年約10億~20億円増加している。全国では22年度に9654億円の寄付があり、23年度は1兆円を超える公算が大きい。確定値は夏に公表される見通し。