原発災害「復興」の影

原発災害・「復興」の影

連載を終えて

 福島民友新聞社が2013年9月から、東京電力福島第1原発事故3年をまたいで連載した「原発災害『復興』の影」は2014年7月9日付で終了した。帰還をテーマにした「帰れない」から事故後3年4カ月の課題を検証した「今を問う」まで10シリーズの連載を経て、浮かび上がった今後の課題について、識者に聞いた。

 識者に聞く

今を問う

 間もなく原発事故から3年4カ月になる今も、県民への事故の影響は続く。いまだ解決できていない問題や、時間が経過したことで表面化しつつある新たな問題に光を当てる。

 ニュース一覧

【10】「完全な復興はない」 行政の"復興"お仕着せに距離感も(2014/07/09)
【9】「移住避難者」続く不安 住民とのあつれき恐れ隠れて生活(2014/07/08)
【8】「国の復興支援...10年」 中越地震例に募る今後への不安(2014/07/06)
【7】「絵空事」の復興計画 住民は"古里の将来"を重ねられず(2014/07/05)
【6】交渉難航「地元のせい」 石原環境相発言の裏に政府思惑(2014/07/04)
【5】活動が停滞の"市民団体" 「寄付金でもめ」事務所も閉鎖(2014/07/03)
【4】反原発デモに違和感や反感 「福島差別」を助長した側面(2014/07/02)
【3】「認知症」深刻化の傾向 避難者側から発症に"不安の声"(2014/07/01)
【2】被災後強まる「内向き」 心に影響、関わり避ける子どもら(2014/06/30)
【1】不登校...潜むSOS 避難で転校繰り返す、心のケア手薄(2014/06/29)

【 福島民友新聞にて2014年7月9日付まで連載 】

費やす

 復興に注がれる予算や資本。その多額さに比べ、真に役立っているとの実感は現場であるはずの本県で乏しい。一方では財源の枯渇を危惧する指摘も強まっている。復興予算の課題を考える。

 ニュース一覧

【10】 "財布のひも締める国" 復興予算の確保、町の存亡を左右(2014/06/07)
【9】 効果薄い「関連死対策」 長期避難...仮設住民に"心の壁"(2014/06/06)
【8】 震災関連死の不認定が増加 予算握る国、基準を示さず(2014/06/05)
【7】 "孤独死は防げるのか" 建設急ぐ復興住宅、懸念する声も(2014/06/04)
【6】 増える業務"職員限界" 「浜通り敬遠」人手不足が深刻化(2014/06/03)
【5】 介護職の不足が深刻化 効果上がらぬ人材確保支援事業(2014/06/02)
【4】 「再生エネ」に"外資の影" 撤退時のリスク検討が必要(2014/06/01)
【3】 除染の利権狙う「県外暴力団」 一般人装い潜入、資金源に(2014/05/31)
【2】 「補助制度」縮小に転換 「復興には長期支援必要なのに」(2014/05/30)
【1】 「復興予算」現場とずれ 一見魅力的メニューも使いにくさ...(2014/05/29)

【 福島民友新聞にて2014年6月7日付まで連載 】

償う

 原発事故で被害を受けた県民に東京電力が支払う賠償金をめぐっては、賠償制度の限界や矛盾、賠償金に起因する社会問題などが指摘されている。避難者らの話から実情を追う。

 ニュース一覧

【10】 避難指示解除めぐり"賛否両論" 賠償に影響、揺れる帰還(2014/05/06)
【9】 「森林賠償」金銭に限界 林業再生に反応鈍い国の機関(2014/05/05)
【8】 帰還者にかさむ「生活費」 医療や就労、支援策は不十分(2014/05/04)
【7】 支援に原発再稼働の思惑 「賠償負担金」各社は反発せず(2014/05/03)
【6】 東電救済へ「支援機構」設立 責任あいまい、国民につけ(2014/05/02)
【5】 「加害者が決めるな」 東電、賠償支払い指針を"骨抜き"に(2014/05/01)
【4】 「賠償未請求」実態分からず 認知症などの救済が課題(2014/04/30)
【3】 直接請求に渋る東電 「迅速な賠償の徹底」は言葉だけか(2014/04/29)
【2】 忍び寄る"薬物の売人" 賠償金狙い仮設住宅に悪質業者(2014/04/28)
【1】 賠償金で揺れる 家族の亀裂生む危険、相続めぐる問題も(2014/04/27)

【 福島民友新聞にて2014年5月6日付まで連載 】

風に惑う

 原発事故後、本県産品や本県観光などがさらされている「風評被害」を解消する手だてはあるのか。県内の生産者、流通業者、県内外の消費者の姿を通じて考える。

 ニュース一覧

【10】 時間かかる「風評払拭」 現状をよく知り、伝える努力必要(2014/04/07)
【9】 "安全の発信"具体的示すこと有効 パフォーマンスは裏目(2014/04/06)
【8】 蔓延する"ネット中傷" 「情報発信、地道に続けるしか...」(2014/04/05)
【7】 工業製品の敬遠...今も 風評根強く放射線検査やめられず(2014/04/04)
【6】 健康志向の顧客減少 自主避難で小売業にも客層の変化(2014/04/03)
【5】 海外反応"悪循環"続く トラブルの度、本県への不安復活(2014/04/02)
【4】 「教育旅行」回復は遠く... "福島"しかない魅力づくり必要(2014/04/01)
【3】 本県支援しぼむ機運 果樹農家、原発事故風化に危機感(2014/03/31)
【2】 基準値超...消えぬ不安 全袋検査も苦悩続くコメ生産農家(2014/03/30)
【1】 "二極化"する消費者 県産「買う」7割近く、「拒否」は3割(2014/03/29)

【 福島民友新聞にて2014年4月7日付まで連載 】

身を守る

 原発事故による健康不安は事故から3年となる今も根強い。健康被害を何とか逃れたい母親の思い、前例のない状況下で活動する医療関係者の姿などを追う。

 ニュース一覧

【10】 "放射線と向き合う" 固執すると別のリスクが高まる恐れも(2014/03/10)
【9】 長期化する「ストレス」 疲労や生活習慣病の"危険"高まる(2014/03/09)
【8】 「運動不足」仮設暮らしで"蔓延" 若い世代にも「肥満」傾向(2014/03/08)
【7】 「データ管理システム」体制未完 一元化作業に課題山積(2014/03/07)
【6】 子ども・被災者支援"実感薄く" 策定が遅れた「基本方針」(2014/03/06)
【5】 国主体の調査を避けた県 思いに反し県民の不信感拭えず(2014/03/05)
【4】 信頼されない「安全」 研究者が集めたデータに"拒否反応"(2014/03/04)
【3】 「放射性ヨウ素」消え推計は困難 初期被ばくの不安が続く(2014/03/03)
【2】 検査向上か事故でかの区別困難 がん増加要因特定に壁(2014/03/02)
【1】 甲状腺検査が生む"不安" 母親「がん可能性ゼロでない」(2014/03/01)

【 福島民友新聞にて2014年3月10日付まで連載 】

取り除く

 原発事故を受け国や市町村が策定した除染計画のほころびが目立ち始め、除染作業に終わりは見えない。除染に対する県民、関係者の思いや作業の実情を追う。

 ニュース一覧

【10】 除染と自らの健康守る知識必要 放射線教育の充実急務(2014/02/09)
【9】 曖昧な国の除染目標 「年間1ミリシーベルト」あくまで目安(2014/02/07)
【8】 "怪しい"売り込み次々 企業から除染技術提案100件以上(2014/02/06)
【7】 計画実現...焦る環境省 富岡町、現地事務所と"温度差"(2014/02/05)
【6】 "安心の追求"揺れる行政 追加除染、市長選で方針転換(2014/02/04)
【5】 寄宿舎建設であつれき 背景に県外除染作業員への不安(2014/02/03)
【4】 除染業者、不正な"中抜き"横行 一部で危険手当の不払い(2014/02/02)
【3】 除染後、元に戻る放射線量 再度の除染作業、具体化せず(2014/02/01)
【2】 減り続ける"帰還希望" 「除染の原資、賠償や生活再建に」(2014/01/31)
【1】 除染遅れ...いら立ち 福島市の7割超「いまだ手付かず」(2014/01/30)

【 福島民友新聞にて2014年2月9日付まで連載 】

自ら逃れる

 自主避難者は、避難による人間関係の変化や、支援制度の変遷などを経て、事故後3度目の正月を迎えている。避難者の現在の思い、境遇を追う。

 ニュース一覧

【10】 帰還か移住か迷う親 それぞれの避難者の決断に支援を(2014/01/12)
【9】 放射線とは"別の課題" 「学校」「仕事」個別の事情抱える(2014/01/11)
【8】 遅れた県内住宅支援 国と対立、県"見切り発車"支援強行(2014/01/10)
【7】 "戻る地"あり良かった 県内に「避難指示」指定広がらず(2014/01/09)
【6】 「自分だけ浮いてる」 帰還者、情報不足背景に"孤立感"(2014/01/08)
【5】 「兵糧攻め」苦境訴え 自主避難、公平性保つ支援に難しさ(2014/01/07)
【4】 お金の話でいさかい 避難者間に横たわる賠償などの格差(2014/01/06)
【3】 避難めぐり夫婦に亀裂 放射能考え方違い、離婚危機発展(2014/01/05)
【2】 放射線不安に"温度差" 避難者受け入れ側の「沖縄」苦慮(2014/01/04)
【1】 「自主避難して正解」 肯定求める"親の判断"、心にも負担(2014/01/03)

【 福島民友新聞にて2014年1月12日付まで連載 】

貯蔵する

 設置に向けた調査が進み用地の国有化も検討され始めた、汚染土壌などを運び込む中間貯蔵施設。過去に例のないこの施設をめぐる当事者たちの思いを追う。

 ニュース一覧

【10】 「いつか元に戻して」 避難者、"生まれ育った古里"に執着(2013/12/08)
【9】 課題山積の「土壌搬入」 環境省はあいまいな姿勢崩さず(2013/12/07)
【8】 本県を"盾"にする環境省 「福島で廃棄物処分を」声受け(2013/12/06)
【7】 「廃棄物の処分場」足りない説明 不透明な"富岡の安全"(2013/12/05)
【6】 なし崩しの負担増加を警戒 出口見えない「核のごみ」問題(2013/12/04)
【5】 県外搬出...現実味薄く 「最終処分」受け入れ、見通しなし(2013/12/03)
【4】 「双葉郡」にしか頼めず 県内外の他への建設"非現実的"(2013/12/02)
【3】 "賛成""反対"揺れる町 楢葉住民「判断する情報少ない」(2013/12/01)
【2】 15年1月「搬入開始」間に合うか 用地買収...険しい道のり(2013/11/30)
【1】 施設めぐり"しこり" 中間貯蔵施設、双葉郡「決定なのか」(2013/11/29)

【 福島民友新聞にて2013年12月8日付まで連載 】

炉を廃する

 福島第1原発事故は、汚染水問題の深刻化で迷走の度を深めている。作業員や東電、関係機関など同原発をめぐる人々の思いを通して廃炉の現在を考える。

 ニュース一覧

【10】 見えない廃炉完了の"具体像" 東電内定者「覚悟が必要」(2013/11/06)
【9】 汚染水対策「トリチウムは海へ」 学会事故調「希釈される」(2013/11/05)
【8】 強まる廃炉部門の「分離案」 見え隠れする"東電の思惑"(2013/11/04)
【7】 「情報収集」模索する県 対応"国任せ"指摘の声...根強く(2013/11/03)
【6】 「東電の解体が必要」 政治決断で"新たな体制"を求める(2013/11/02)
【5】 「東電に廃炉は無理」 事故後も続く多層的な"請負構造"(2013/11/01)
【4】 現場に絶えない人的ミス より怖い東電の「技術力の低下」(2013/10/31)
【3】 収束作業"決死の覚悟" 批判受け職員の「士気低下」心配(2013/10/30)
【2】 「人員確保」下請け頼み 事故前の"平時"水準賃金も障壁(2013/10/29)
【1】 作業員の質、力量低下深刻 放射線量加算で減る"熟練"(2013/10/28)

【 福島民友新聞にて2013年11月6日付まで連載 】

帰れない

 原発事故から2年6カ月。避難住民はなお15万人近くいて、避難区域の再編で古里への「帰還が困難」とされた人も生まれている。原発事故、東日本大震災からの再生に向けて強調される「復興」「絆」といった前向きな言葉の影に隠れがちな原発事故災害の側面を見つめていく。

 ニュース一覧

【10】 現実味欠く「復興策」 大人の責任果たし"子らの世代"へ(2013/09/23)
【9】 他に選択肢はないはず 古里・双葉は「中間貯蔵」候補地(2013/09/22)
【8】 在京島民...避難先に"置き去り" 三宅島と共通「先見えず」(2013/09/21)
【7】 生活再建"弾まぬ心" 賠償金で...他人の目気にし家新築(2013/09/20)
【6】 避難住民の帰還の可否が"曖昧" 「はっきりさせて政策を」(2013/09/19)
【5】 一部地域で帰還諦める可能性 「元の生活取り戻せない」(2013/09/18)
【4】 復興予算の使途に"疑問" 「国の体裁しか考えていない」(2013/09/17)
【3】 将来も産業は「廃炉」 原発に代わる"働く場"見つからず(2013/09/16)
【2】 被災者"我慢も限界" 危機感...「みんな、心がダメになる」(2013/09/15)
【1】 被災者間で"溝"あらわ 津波被害、助成限定「納得できず」(2013/09/14)

【 福島民友新聞にて2013年9月23日付まで連載 】