「体験型鮮魚店」に改装、オープンにぎわう いわき・おのざき

 
再オープンしてにぎわう「おのざき鮮場やっちゃば平総本店」。従業員と買い物客が対話できる対面型販売が特徴だ

 福島県いわき市の水産品販売業「おのざき」が大規模改装を進めていた旗艦店「おのざき鮮場やっちゃば平総本店」が26日、オープンした。関係者は本県が誇る「常磐もの」の魅力発信や、地域密着型の鮮魚店として魚文化の継承に向けた誓いを新たにした。

 改装した店舗では、従業員から直接、海産物の特徴や調理方法などを聞ける対面販売が基本だ。さらに、いわき市平が発祥とされる「カツオの火山(わら焼き)」の実演販売を行っているほか、今後は水槽の魚を直接触れることができる仕組みも導入予定だ。

 小野崎幸雄社長は「地域密着の体験型鮮魚店として生まれ変わった」と表現。魚食文化の振興だけではなく、交流人口の拡大など浜通り地域の観光振興の拠点としての役割も担っていく覚悟だ。

 午前8時半の開業を伝えるチャイムが鳴ると、買い物客が次々と来店、新鮮な海産物や加工品などを買い求めた。改装前から週に1、2回は訪れていたといういわき市の主婦田中敏子さん(75)は「陳列の仕方も工夫されているし、実際に調理をしている様子も見られる。専門店なのでいろいろな魚がそろっているのがいいよね」と笑顔を浮かべた。

 書き入れ時の年末以上という人出に、プロジェクトリーダーで創業家4代目の小野崎雄一取締役は「皆さんが喜んでいる姿にうるっとしました」と感慨深げ。東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出に伴う「応援消費」が落ち着いたいま、小野崎取締役は「常磐ものが自立できる最後のチャンス」と強調。「多くの期待を裏切らないよう、常磐ものの魅力を発信していく」と表情を引き締めた。