「常磐もの」魅力...体験型の鮮魚店に おのざき、平店大規模改装へ

 
(写真上)体験型の鮮魚店として生まれ変わる「鮮場やっちゃば平店」のイメージ、(写真下)「常磐ものの魅力を最大限にアピールしていきたい」と語る小野崎さん

 いわき市の水産品販売業「おのざき」は、鮮魚店では東北最大規模の売り場面積を誇る旗艦店「鮮場やっちゃば平店」を大規模改装する。市場から高く評価されている「常磐もの」の魅力を引き出すため、魚を見て、感じて、味わえる体験型の店舗を目指す。創業家4代目の小野崎雄一さん(27)は「おいしい魚を求めて遠くから人が来るような店舗にし、浜通りを元気づけたい」と話す。

 改装は3月下旬から始める予定で、水槽のほか、マグロ解体ショーをはじめとした「ライブ感」のあるイベントを開催できるコーナーを設ける。カツオのわら焼きなどの加工品を作る作業の現場も、ガラス越しに見られるようにする。

 接客も対面販売を重視するスタイルに転換、長方形の売り場の内側にスタッフを配置して来店者にお薦めの魚を紹介する。魚の食べ方も説明し、要望に応じて目の前でさばくなど「魚食」の魅力を伝えたい考えだ。店舗内にあり、昼時になると行列ができる「潮目食堂」は広さを倍増させる計画で、その場で味わえる楽しみを提供する。

 雄一さんは首都圏での小売業の経験を経て、2020年に家業の「おのざき」に入社した。同社は震災と原発事故を乗り越え、現在は鮮魚店4店舗、飲食店2店舗を展開しており、雄一さんは「常磐ものをより多くの人に知ってもらうためには、新たなチャレンジが必要な時期」と感じていたという。従業員と意見交換し、1996年から続く平店の大規模改装を決めた。

 改装した店舗のオープンは4月下旬ごろを予定する。雄一さんは「おのざきは昨年、創業100年となった。確かな鮮度と接客という原点回帰で次の100年に向かう意味もある。水産業はいわきの『個性』であり、体験型の店舗でまちを盛り上げていきたい」と抱負を語った。