南相馬市長選・初当選の門馬氏に聞く 小高の医療不安解消議論

 
初当選を果たし抱負を述べる門馬氏

 21日に投開票が行われた南相馬市長選で初当選を果たした新人の門馬和夫氏(63)は、福島民友新聞社のインタビューに応じ、対話重視で市政に臨む考えを改めて示した。復興から発展を目指す南相馬市のかじ取りを託された門馬氏に、抱負などを聞いた。(聞き手・編集局長 菊池克彦)

 ―10日間の選挙戦を振り返り勝因を。
 「南相馬市を何とかしなければならないとの思いで立候補した。多くの人とのつながりが輪になり、避難などで離れ離れになった家族が一緒に暮らせるまちづくりや、100年先のまちづくりを進めるとの訴えが浸透していった」

 ―真っ先に取り組みたいことは。
 「市立小高病院の在り方など、小高の医療不安解消に向けた議論を急がなくてはいけない。また東京電力福島第1原発の30キロ圏外にある鹿島区の高速道無料化も早急にも取り組みたい。最重点政策として掲げた教育・子育て、医療・健康、産業、インフラの4本柱を進めるためには段取りが重要だ。市役所は新年度の人事を固める時期にきている。人を割り当てるため、組織の再編を含めて職員と考えを共有していきたい」

 ―南相馬は相馬野馬追が有名だ。交流人口拡大の手法を聞きたい。
 「相馬野馬追だけでなく、文化財などたくさんの観光資源がある。復興の現場を見てもらうのも一つの手だ。近隣市町村と連携して効果を上げていく」

 ―選挙では対話での市政運営を訴えた。
 「人は納得して動けば力を発揮し、他の人も巻き込んでいく。市の職員は優秀であり、東日本大震災後もよく働いている。職員と考え方や問題点を共有したい。また選挙で市民の話を聞く中で、問題点を整理できた。さまざまな人とのつながりも生まれた」

 ―大部分で避難指示が解除された小高区のまちづくりをどう進めていくか。
 「市が一つになるために市民の不満を一つでも取り除きたい。その一つが市立小高病院の問題。入院機能を残していくことが行政としてできる『最低限の温かさ』ではないか。復興では核となる施設ではなく、ビジョンが重要だ。選挙戦を通じて市民から期待の声が多く寄せられた。一つ一つ実現していくことが恩返しになる。南相馬の未来をつくっていきたい」