福島県知事再選・内堀雅雄氏に聞く 「食とインバウンド融合」

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「本県の食の魅力とインバウンド対策を融合させた新たな取り組みを検討していく」と風評払拭への決意を語る内堀氏

 28日投開票の知事選で再選を果たした内堀雅雄氏(54)は福島民友新聞社のインタビューに答え、2期目の抱負や復興・創生の加速化に向けた決意を語った。国内外で根強く残る風評被害の払拭(ふっしょく)については、来県した外国人観光客に本県の食の魅力を発信する新たな取り組みを2019年度県当初予算案で検討していくとし「外国人に消費してもらうことで経済効果だけではなく、風評払拭に向けた輸出以上の効果をもたらす」と強調した。(聞き手・編集局長 小野広司)

 人口減向き合い県全体活力再生

 ―本県復興、県政の諸課題解決に向けた2期目の抱負は。
 「前例のない課題に挑戦していくことで、傷ついた『ふくしまプライド』を取り戻し、新たなプライドをつくり出す。(20年度末で終了する)復興・創生期間後の組織、制度、財源確保をしっかりと国に求めていく。農林水産業、商工業、観光業などの既存産業の振興や人口減少問題をはじめとした県全体の活力の再生など、豊かな県づくりに私自身が現場主義を貫きながら挑戦を続ける」

 ―20年度末で復興庁が廃止となる。後継組織の本県設置に向けた県の働き掛けは。
 「大事なことは原子力災害は宮城、岩手にはなく、本県が複合災害に苦しんでいるということだ。復興・創生期間後も政府が責任を持って対応しなければならない理由は原子力災害にある。(国との協議は)私が先頭に立ってやる」

 ―被災市町村の広域連携の強化をはじめ復興再生に向けた知事のリーダーシップは。
 「避難地域の復興再生で大事なのは、自治体の思いや意向を尊重し、現状をきちんと丁寧に把握すること。自治体ごとに違った状況が複雑に絡み合い、複数の政策を同時に展開していかざるを得ない難しい局面にある。さまざまな場面で悩んでいる首長の思いを私が聞き、解決策を出す。それはトップ同士だけではなく、副知事や部局長、職員も一緒に取り組むという意識を組織全体につくる。知事だけではなく、県庁という組織として現場主義を実行できる形を目指す」

 ―復興を加速する上で十分に成果が出きっていない風評払拭の取り組みは。
 「19年度県当初予算案では、本県の食の魅力とインバウンド(訪日外国人旅行者)対策を融合させた新しい取り組みを検討していく。(農産物などの)国全体の輸出額が約8千億円に対し、外国人の日本国内での消費額が約1兆2000億円というデータもある。県内を訪れた外国人に活発に消費してもらうことが海外への発信につながり、輸出以上の効果を期待できる。食とインバウンドの取り組みは今まで別々で、全体像はなかった。また、県産農林水産物の安全対策や新市場の開拓、観光資源の磨き上げやSNSなどを使った情報発信にも取り組む」

 イノベ認知高め企業参入を加速

 ―福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想で具体的でスピード感のある推進を。
 「まず構想の認知度を高め、全国から企業の参入を加速させる。さらに地元企業の幅広い参画を促すことで、県全体に効果を波及させる。構想の具体化は緒に就いたばかりで県の支援を通じて研究機関や大企業と連携しながら新技術を開発する地元企業が現れ始めた。イノベ構想の核は、廃炉技術であり、必然的に地域に産業集積が進む。できるだけ地元企業に構想に加わってもらうことが必須だ。構想に関心を持っている大学や研究機関の高いレベルの技術や知恵、アイデアが移植されることで一緒に発展することが可能だ」

 ―健康づくり運動の全県波及のために課題も乗り越えたい。
 「行政が指示する話ではなく、一人一人が健康習慣を見直して身近なところから健康づくりを実践することが重要だ。テレビを立ったまま見たり、家の中を歩いたりするだけでもいい。県は食、運動、社会参加をキーワードに県民運動を展開して食育活動の推進やふくしま健民アプリによる運動習慣の動機付け、(歩きやすい靴や服装で出勤する)ウオークビズの推進などを通じて全国に誇れる健康長寿県を目指す。企業内から始める部分も必要。働き盛りの若い年代が不摂生なこともあり、健康経営を進める企業の支援に取り組む」

 ―東京電力福島第1原発で保管が続く放射性物質トリチウムを含む処理水の扱いについて県の姿勢が見えてこない。
 「8月の公聴会の意見を踏まえ、環境や風評への社会的な影響などを丁寧に説明して議論することを引き続き、国と東電に求めていく。期限ありきで進める話ではなく、慎重に議論していくことが基本だ。期限ありきで進めていくと難しい側面が出てくることを経験の中で実感している」

 ―東京五輪・パラリンピックに向けては。
 「世界中からの支援への感謝を伝え、復興が着実に進んでいる姿、課題に向き合っている姿を国内外に発信したい。聖火リレーは復興五輪の理念の下、本県が出発点に選ばれており、これまで苦しんできた地域への配慮が必要だ。また、できるだけ多くの地域の県民に関わってもらえるようにしたい。競技会場の運営や会場案内を行うボランティア、伝統文化や県産品などの魅力を発信できる機会を設けるなど、多くの県民が参加して笑顔で大会を迎えられるよう準備したい」