【県民との約束・内堀県政2期目の課題】 目標達成へ出生率施策

 

 「復興も大事だけど、知事には子育てしやすい環境づくりも大切にしてほしい」。現職の内堀雅雄(54)が65万票を獲得し、再選を果たした知事選の投開票から一夜明けた29日。福島市の女性(34)は公園で長女を抱きながら、まだ掲示板に貼られたままの内堀の選挙ポスターを見つめていた。

 内堀は初当選した4年前の選挙戦と同様、公約の一つに「日本一の子育て」を掲げた。しかし、2017(平成29)年の全国調査で本県の1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数(合計特殊出生率)は1.57。全国順位は12位で前年より一つ順位を上げたが、合計特殊出生率は前年比0.02ポイント減で、5年ぶりに低下した。県は40年に合計特殊出生率を2.16に引き上げるという指標を設定しており、2期目の内堀県政は指標達成に向けた具体的な施策を示すことが求められる。

 「女性が産休や育休の間も職場から分離されず、スムーズに復帰できる仕組みをつくりたい。国、県、市町村の制度の隙間に入っているものに対し、県が応援する」。内堀は公約で女性が子どもを産み、育てやすい環境づくりを明言した。県内企業に産休・育休制度の理解、拡充が浸透すれば、合計特殊出生率の伸びにつながるかもしれない。しかし製造業を中心に中小・零細企業が多い本県で、制度の普及は容易ではない。

 今回の知事選で、内堀は「避難地域の復興」を公約の最重点施策に掲げたが、中小企業支援や地場産業の事業承継、広域的な子育て支援体制の構築など、震災前から本県の課題とされてきた県民生活により密接した課題に関する政策を多く盛り込んだ。「(震災、原発事故から)7年が経過し、地域の事情にバラツキ感が出てきた」。内堀も県民が県政に望む政策が「復興」から経済対策や地域活性化策に移行しつつある状況を自覚する。

 「復興・創生期間の終了を含め、大変厳しい4年間になる。(65万票という)期待が大きい分、県民の声にしっかりと応えていかなければならない」。内堀は29日午前、当選あいさつに訪れた自民党県連で県連幹部から激励された。県民から圧倒的な信任を得たことで、公約実現への内堀の責任は一層重みを増した。(文中敬称略)

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 第21回知事選は現職の内堀氏が再選を果たした。選挙戦で内堀氏が訴えた「八つの公約」を検証し、数値などを通して4年後の将来像を見る。