【県民との約束・内堀県政2期目の課題】 「健康」気付き促す

 
急性心筋梗塞の死亡率 出典:厚生労働省人口動態統計年齢調整死亡率(人口10万人対)

 「健康になりたいと漠然と思っているが、何をすればいいのか分からない。その道しるべとなる健康経営を普及させる補助制度をつくってほしい」。

 福島市の会社員男性(35)は、企業などが従業員の健康に配慮した経営を進める「健康経営」の普及を期待する。県民の健康増進を最重点施策の一つに掲げる県はこうした健康経営などの取り組みを支援しているが、まだ県民全体に浸透しているとは言い難い。内堀雅雄(54)の2期目には、男性が代弁する「何をしたらいいか分からない」という県民の思いに答える施策が必要となる。

 意識向上浸透これから

 健康に関連する各種指標で本県は数値の悪化が見られる。急性心筋梗塞の死亡率は男女とも全国ワースト1位。循環器系疾患や心疾患につながる危険性があるメタボリック症候群の割合は全国ワースト3位に低迷する。震災と原発事故に伴う避難生活の影響も考えられるが、塩辛い食べ物を好む食習慣や車中心の移動など、県民の生活習慣改善の必要性が指摘されている。

 ただ生活習慣の改善は継続性が重要とされる。県は10、20年後を見据え、県民の早期の健康意識の向上を図るため、2016(平成28)年度に健康をテーマとした県民運動を始めた。スマートフォンを使った「健民アプリ」を導入し、ウオーキングなどの運動を県民に推奨しているほか、要介護度2以上にならず、健康に過ごせる期間を算出した65歳以上の健康寿命「お達者度」を公表するなど、県民の健康への気付きを促す「アドバルーン」を揚げた。

 しかし取り組みは緒に就いたばかり。「健康は一人一人の気付きから始まる。県民が参加しやすい身近なイベントで健康長寿の県づくりを進める」。内堀は再選後、県民が健康づくりに取り組みやすい環境整備に注力する方針を示した。

 課題も少なくない。例えば、健民アプリは運動目標の達成で利用者が特典を得られる仕組みだが、利用者からは「自分がどれだけ健康になったかを実感できる仕掛けもほしい」との声もある。健康データの解析なども具体化はこれからで今後は新たな対策に加え、これまでの取り組みの成果を検証し、今後の施策展開に生かすことも求められる。

 「健康対策と行政に言われても、動く人は少ないのではないか」。県ウオーキング協会事務局長の鈴木康郎は、行政が主導する健康対策だけでは限界があると見る。内堀も民間企業やNPOなどとの連携強化を見据えているが、取り組みを県民全体に波及させるための名案はまだ見えていない。(文中敬称略)