本宮市長に現職・高松義行氏4選 市制施行以降初の連続無投票

 
無投票で4選を果たし、万歳する高松氏(中央)

 任期満了に伴う本宮市長選は15日告示され、無所属で現職の高松義行氏(68)=3期=のほかに立候補の届け出はなく、高松氏が前回に続き無投票で4選を果たした。同市長選が無投票となるのは2007(平成19)年の市制施行以降2度目で、2回連続は初めて。

 4期目で高松氏は引き続き、人口減少対策や東北道本宮インターチェンジ周辺の開発、農商工の経済活性化、甚大な被害が発生した東日本台風による水害を教訓とした防災・減災対策の強化などに取り組んでいく考え。

 当選証書付与式は23日午前10時から市役所で行われる。4期目の任期は2月4日から4年。

 地場産業への支援策評価

 【無投票の軌跡】2回連続の無投票となった本宮市長選は現職高松義行氏の3期12年の堅実な実績が信任された格好だ。

 高松氏は昨年9月議会で立候補を表明。東日本台風からの復旧・復興に向けた対応や新型コロナウイルス禍での地場産業への経済支援策などが評価され商工、農業、建設団体などから支持を獲得。対抗馬の動きは表面化しなかった。告示日当日に男性1人が届け出に必要な書類を受け取ったが、立候補には至らなかった。

 一方、無投票はコロナ禍や物価高など不安定な社会情勢の中、継続した対策を求める有権者の意思の現れともいえる。市民の声に耳を傾け、市政運営に反映させる姿勢が重要だ。自然災害や新型コロナなどの緊急的な対応に追われた3期12年を経て、市民の「本当の笑顔」を目指すとした高松氏。経験を生かして山積する課題に道筋を付け、市民に明るい未来を示せるか。その手腕が問われる。(本宮支局・佐藤智哉)

 高松氏に聞く 人口の減らない市に

 本宮市長選で4選を果たした高松義行氏(68)は、福島民友新聞社のインタビューに応じ、地域公共交通の再編や東北道本宮インターチェンジ(IC)周辺の開発、白沢地区の活性化を通して「人口の減らない市」を目指す決意を語った。(聞き手・編集局長 小野広司)

 ―3期目の総括と4期目の抱負を。
 「JR本宮駅の新駅舎と東西自由通路の整備、保育所などの社会教育施設の大規模改修を進め、公約が3期目で形になった。東日本大震災から12年となる中、東日本台風や新型コロナウイルスも含めて市民は苦しい状況で頑張っている。市民と未来を見据えて話し合い、心の底から『本当の笑顔』になれる本宮をつくっていく」

 ―市政の最優先課題は。
 「人口減少対策だ。市人口は震災の影響で約1000人、東日本台風の影響で約300人減少し、現在も微減している。それを取り返すことは短期間にはできない。利便性などの地域の優位性を生かし、住みよさを感じてもらえる総合的なまちづくりを通して『人口の減らない市』を目指す」

 ―具体的な取り組みは。
 「社会動態(転入・転出)が増加しており、県外や首都圏から入ってくる人へのサービスが重要になる。首都圏からの転入者には運転免許証や車を持たない人もいる。高齢者の免許返納も増える中、10月1日を目標に公共交通体系を刷新する。定額で利用できるタクシー『まちタク』を導入するほか、乗り合いのデマンドタクシーの運行範囲を拡充させる方針だ。また単身で転入するケースもあり、学校教育の質を上げることで家族で選んでもらえる市にしていきたい」

 ―白沢地区の人口減少対策についての考えは。
 「白沢の住みやすい環境をどう知ってもらうかが課題だ。今後、市議会と相談し、就農者や移住者向けの『お試しゲストハウス』のような事業を準備していく。人を呼び込むために、農業ができる、勤める企業がある、起業もできるといった情報を発信していきたい」

 ―東日本台風からの復興の現状と今後の対策は。
 「阿武隈川の堤防をはじめ、ハード面はある程度完成した。今後重要なのはソフト面。自主防災組織の組織率を100%に近づけ、防災訓練などを通して地域のつながりや防災体制を見直していく。新年度から新たに防災アドバイザーを招く考えだ。専門家の指導を受けながら、市と市民の危機意識の共有を図る」

 ―経済活性化や本宮IC周辺の開発の展望は。
 「ふるさと納税の返礼品にアサヒビール福島工場製造のビールなどが加わり、本年度の寄付額は昨年12月時点で前年度の約12倍の1億6千万円に上っている。市民に還元することで地域の元気につなげたい。IC周辺開発では、物販系の会社と交渉を続けている。実現すれば大規模な商業施設になることが想定され、経済の活性化と交流人口の拡大につながるだろう。4期目の4年間で形にしたい」