「Fukushima50」リレーメッセージ(10)小倉久寛さん

 
 おぐら・ひさひろ 三重県出身。劇団スーパー・エキセントリック・シアターの旗揚げに参加。舞台を中心にドラマ、ナレーション、アニメ声優など幅広く活動する。主な映画出演は「学校」「大夜逃~夜逃げ屋本舗3」「蝉しぐれ」など。ギターなど多趣味でも知られる。

 この映画の撮影に参加できて本当に良かった。それは貴重な体験ができたから。尊敬と感謝の気持ちが何倍にもなったから。東日本大震災、福島第1原発事故。当時は経験したこともない出来事に不安な気持ちいっぱいで、そして被害状況に心を痛めながらニュースを見守りました。

 中央制御室の撮影は、電源が落ちたという設定で暗闇の中で進行しました。何日か続くうちに気持ちまで暗くなり息が詰まり焦燥感に駆られました。これは撮影なのです。防護服を着ると上からすごい力で押さえられている感じで自由が利きません。そんな防護服を身に着けて1分1秒を争う作業。汗が流れ落ちました。本当の事故現場はいかばかりだったのでしょう。

 ほんの何分の一か、こういう経験ができ、Fukushima50の方々への尊敬感謝の気持ちが何倍にも膨れ上がりました。撮影に関わった全てのスタッフ、キャストとも同じ気持ちだったと思います。Fukushima50に感謝。そして一日も早い復興を。