【5月4日付編集日記】自衛策

 

 五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする―。萩原朔太郎は、詩集「月に吠える」の中に、こんな言葉を残している。一年を通じて最も爽やかで何となく気持ちが高揚してくる季節に入った

 ▼大型連休とひとくくりにしがちだがきょうは自然に親しみ、その恩恵に感謝し豊かな心をはぐくむ「みどりの日」。まさに、野山の恵みを実感できる頃でもある。山あいの道を走れば、山菜採りとおぼしき人の車が道路脇に止まっているのを、あちこちで見かけるようになってきた

 ▼昨年、地竹を採っていて、どこから入ったのか分からなくなることがあった。探すのに夢中になると下を見たまま、どんどん先に進んでしまう。知人と声をかけ合ってしのげたものの、やぶだらけの中で迷う事故が起きるのもうなずけた

 ▼手慣れた方はいるもので、目印になる大きな木にラジオを引っかけ、大音量で流していた。音を頼りにすれば大体の居場所は分かるし、クマよけの効果が期待できるかも

 ▼今年はもう一つ、早めの自衛策が必要になりそうだ。熱中症特別警戒アラートの運用が始まったと思っていたら、早くも伊達市梁川町などで真夏日を記録した。爽やかな季節といえども、油断なさらずに。