いわきFC、首位町田を撃破 残り5戦、残留へ大きく前進

 
【町田―いわき】前半31分、FKを直接決め、仲間と歓喜するいわきのDF山下(左)=東京都・町田GIONスタジアム

 サッカーJ2第37節ー。いわきFCは1日、アウェーの町田GIONスタジアム(東京都)で首位FC町田ゼルビアと対戦、3―2で金星を挙げた。連勝で通算成績を11勝10分け16敗とし、22チーム中18位に順位を一つ上げた。今季は残り5試合。いわきは次戦で勝利すると下位チームの勝敗次第で残留が確定する可能性が出てきた。

 いわきは前半31分、相手ゴール前でFKを獲得すると、DF山下優人が直接決めて先制した。さらに、同41分にFW谷村海那のゴールで追加点を奪い、後半開始早々には山下のクロスにDF遠藤凌が合わせ、突き放した。その後、町田に2点を奪われたが、最後はゴール前で体を張って反撃を食い止め、リードを守った。

 いわきは次戦の8日、ホームのハワイアンズスタジアムいわき(いわき市、いわきグリーンフィールド)で17位ベガルタ仙台と対戦する。午後2時開始予定。

いわきFCの試合結果

【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】攻めたいわきが首位町田に競り勝った。守備がはまり、相手の攻撃の芽を摘むとFW有田、谷村の両サイドから敵陣に押し込む時間をつくった。前半31分にはゴール前でFKを獲得。山下が直接決めて、さらに同41分に谷村もゴールを奪った。後半開始早々に追加点を上げた後は町田の反撃を受ける形となったが、最後は運動量で上回り、体を張った守備でリードを守り切った。(佐藤智哉)

 山下が先制FK弾 恩師の前で成長見せた

 左足から放たれたボールは相手の壁を越え、縦に落ちながらゴール左隅に吸い込まれた。いわきのDF山下優人は直接FKで首位町田から先制ゴールを奪取。「プロでFKのゴールは初めて。こんなにうまくいくとは思わなかった」と照れ笑いを浮かべた。

 前半31分。相手のペナルティーエリア前でMF下田栄祐が倒されFKを獲得した。ゴールまで約20メートル。壁には相手選手計8人が並んだ。それでも「ずっと練習してきたコースだった。壁が大きいなと思ったが、越えれば入ると感じた」と山下。思い描いた通りに縦回転がかかったボールは、相手GKが触れることさえできなかった。

 町田を率いる黒田剛監督は、青森山田高時代に指導を受けた恩師だ。黒田監督は試合後、「山下の得意なコースは知っていた。GKに伝えておくべきだった」と悔しさをにじませ、山下は「成長した姿を見せられて良かった」と「恩返し弾」に胸を張った。

 山下はこの日、DF遠藤凌のゴールもアシストした。首位を走る強敵に勝利し「自信になる結果だ」と手応え。次戦はホームに仙台を迎え、東北ダービーに挑む。山下は「負けられない。この勢いを次に生かす」と気持ちを高ぶらせた。(佐藤智哉)