郡山市長選再選の品川萬里氏に聞く 子育て支援、愚直に

 
「丁寧に、愚直に市政を執行したい」と話す品川氏

 16日に投開票が行われた郡山市長選で、再選を果たした現職の品川萬里氏(72)は「市民総活躍」の市政の実現を目指して子育て支援充実や環状道路整備などを掲げる。市民から経済県都のリーダーに再び選ばれた品川氏に抱負などを聞いた。(聞き手・編集局長 菊池克彦)

 保育の新機軸展開 「知の宿場町」目指す

 ―2期目の市政運営の抱負を。
 「(太平洋と日本海を結ぶ疏水の力見よ、とある)郡山市歌が市政全体の在り方を示しており、それを胸に市政に取り組んできた。市民と苦楽を共にし、丁寧に、愚直に市政を執行したい」

 ―誘致した研究機関を生かした産業振興策について聞きたい。
 「研究機関ができ、郡山の企業が研究開発部門を強化する例が増えている。産学官の連携で、産業と学問の力を上手に橋渡ししていく。郡山が産学連携の聖地になるよう『知の宿場町』の役割を果たしたい。ふくしま医療機器開発支援センターを重視し、ドイツ・エッセン市から郡山に提携の申し出もあった。郡山が国際的な研究開発拠点都市になりつつあり、中小企業に、チャンスを生かしてもらえるよう支援したい」

 ―子育て支援策は。
 「共働きの世帯数が専業主婦の世帯数を大きく上回っており、保育の問題は雇用の問題と言っても過言ではない。保育士の処遇改善に当たっては、一つ一つの『点』の施策を進めるのではなく、保育システムをつくるという新しい考え方を展開したい」

 ―県内初の義務教育学校を整備する。教育方針を。
 「小中一貫校の効果は大きく、教える側、学ぶ側の双方にとって良い学校システムなので、成功事例にしたい。郡山では校区の問題がある。各校で教室数の過不足にばらつきがあり、校区の組み合わせを考えることで、校舎利用と学習の在り方のバランスも取れる」

 ―人口減少対策は。
 「人口動態の変化に対応するためには、情報通信網と交通網の整備が重要。通勤、行楽などで発生する交通渋滞をいかになくすかが郡山の大きな課題だが、三つの環状道路を早期に完成させることで、今後の人口動態の変化に対応できるまちづくりができるとみている。環状道路の整備に加え、どこでも通信できる交通通信システムを構築し、市民の居住、勤務の自由度を高めるような都市を目指す」

 ―中心市街地の活性化をどう進めていくか。
 「JR郡山駅の東西両側で中心市街地の機能を果たすという考え方が必要。駅東側に3月に整備したエスカレーターなどが、中心市街地の新たなイメージを描くスタートと位置付けている。郡山ならではの街をどう描くか。市民の夢を形にするのが行政の役割だ」

 ―最後に震災、原発事故からの復興施策を。
 「双葉郡の住民の気持ちに寄り添いながら、汚染土壌を計画的に中間貯蔵施設に運び出すことが大事だ。また農産物の安全性をしっかり検査していることなどをデータ、映像などで世界に発信していくことがますます重要になってくる」