【福島県議選・有権者の視点】身近な政治!若者の投票率向上が鍵

 

 「若年層の意見を政治に反映させるチャンス。投票には行くつもり」。社会人1年目の団体職員鈴木榛華さん(19)=いわき市=は県議選に関心を寄せる一方、各候補者や選管については若者への呼び掛けが不十分だと感じている。「選挙カーの音声は聞こえるが、主張は耳に入ってこない。もっと政治を身近に感じさせることが大切だと思う」

 2016(平成28)年に導入された「18歳選挙権」。その後、県内では全県が選挙区となる知事選、国政選挙が計4回実施されたが、若者の投票率はいずれも低調だった。中でも18歳に比べて19歳の投票率は低く、昨年行われた知事選では19.84%にとどまった。「もっと時代に即した啓発や活動をすれば、若者も関心を持つはず」。鈴木さんはそう指摘する。

 若者の投票率向上は、各市町村の選管にとって大きな課題だ。福島市選管は、期日前投票所に記念撮影用のフォトフレームを設置。「撮影を通して投票に興味を持ってもらえれば」。同市の特産品をあしらったデザインを考案した福島大の学生団体「福大Voteプロジェクト」のメンバーの一人、庭山和奏さん(20)は効果に期待する。

 またいわき市では、平三中の生徒有志が啓発動画を制作。インターネットや期日前投票所でも視聴でき、同市の家電量販店では4日、動画をつくった生徒たちが画面を見ながら制作当時を振り返った。「不安に思うことなど、言いたいことを伝える機会。選挙に参加してほしい」。制作に当たった伊藤向日葵(ひまり)さん(3年)は選挙権を持つ大人たちにメッセージを送った。

 全年代を通した県議選の投票率も、84.58%に上った1971年以降、毎回低下を続けている。東日本大震災後は47.51%(2011年)、46.67%(15年)といずれも5割を割り込んだ。「18歳選挙権」導入後、初めてとなる今回は、若者の動向が投票率に直結する。

 会津大1年の女子学生(19)=会津若松市=は、7月の参院選を棄権した。いわき市に住んでいた昨年は、高校や家族に誘われて知事選の投票に向かったが「大学生になると、近くに勧めてくれる人がいない」。会津若松市長選・市議選でも、投票所に足を運ぶことはなかった。

 「丸1日、選挙を見てみよう」。女子学生は2日、期日前投票所で立会人を務めた。会場には、幼子を抱いた母親や足の不自由な高齢者が1票を投じる姿があった。「私もちゃんと投票しなくちゃ」。女子学生は10日、19歳になって初めて投票所に足を運ぶつもりだ。