大熊町長に新人・吉田淳氏 復興争点!新人対決2686票差制す

 
初当選を決め万歳する吉田氏(中央)。右は妻春美さん

 任期満了に伴う大熊町長選は10日、投開票が行われ、前副町長の吉田淳氏(63)が、前町議会議長の鈴木光一氏(64)との無所属新人同士の争いを2686票差で制し、初当選を果たした。任期は20日から4年。

 選挙戦は東日本大震災が発生した2011(平成23)年以来8年ぶりで、今年4月に一部地域を除き避難指示が解除されてからは初めて。両氏は復興に取り組んだ現町政の継承を掲げ、町内の医療や教育の環境整備など復興政策を争点に選挙戦を繰り広げた。

 吉田氏は各種団体や町議の支援を受け、帰還を希望する町民や町外で生活を再建した町民、新たに移住を希望する住民が融合したまちづくりなどを訴えた。

 投票率は53.00%で、11年に比べて15.34ポイント低く、過去最低だった。当日有権者数は8440人(男性4094人、女性4346人)。

 避難解除後の姿訴え

 東京電力福島第1原発事故による避難指示が4月に町内の一部地域で解除されてから、初めて行われた大熊町長選。新人同士の争いは、副町長として現職を支えた吉田淳氏が大差で制した。

 町民の9割以上が今なお県内外で避難生活を送る中で行われた選挙戦。吉田氏、敗れた鈴木光一氏とも、有権者が多く避難する会津若松、郡山、いわきなどを遊説し、票の掘り起こしに力を入れた。しかし、投票率は選挙戦となった8年前から15・34ポイント下回る結果となり、全町避難の影響が改めて浮き彫りとなった。

 町はJR大野駅周辺などの中心部を特定復興再生拠点区域(復興拠点)として、2022年春までの避難指示解除を目指している。吉田氏は選挙戦を通じて町民の融合と、復興拠点の拡大と未除染地区の解消を重点に訴えてきた。解除の先にある新生大熊町の姿をどのように描き、実現していくかが問われる4年間となる。

◇大熊町長選開票結果(選管最終、敬称略)
当3,549 吉田  淳 無新
   863 鈴木 光一 無新