若松市長選4選・室井照平氏に聞く 少子高齢化、駅前再整備に力

 
インタビューに答える室井氏

 30日投開票の会津若松市長選で4選を果たした室井照平氏(67)は福島民友新聞社のインタビューに応じ、少子高齢化対策やJR会津若松駅前の再整備といった積み残した課題の解決に全力を挙げる考えを強調した。観光再生や県立会津総合病院跡地への複合施設建設にも意欲を示した。(聞き手・編集局長 丹野孝典)

 ―4選おめでとうございます。4期目の抱負と、最優先で取り組む課題を。
 「市民の皆さまに市政の継続、発展を期待していただき、4期目に入ることができる。人口減少、少子高齢化対策とともに、積み残した課題の解決に取り組みたい。この3年、新型コロナウイルスの影響で市の事業が停滞した。JR会津若松駅前を再整備し、歩行者と自家用車、バス、タクシーなどの導線を整理したいと考えていたが、JR東日本、JR貨物との交渉を進められなかった。あと4年の時間をいただいたので、JR側と協議し、快適な駅前に改善したい」

 ―人口減少対策にどのように取り組むか。
 「想定以上に出生数が減り、死亡者が増えている。昨年は自然減だけで1100人近くになった。ここに転出入による社会減が数百人加わる。こうした事実を重く受け止め、新しい少子化対策、人口減少対策をスタートさせた。本年度当初予算に移住や結婚、子育て支援などに計3億1000万円を計上し各種支援策をまとめた『暮らし応援ガイドブック』を作成した。今後4年間でさらに施策を前に進めたい」

 ―主要産業の一つである観光業は新型コロナ禍で大きな打撃を受けている。観光再生に向けた取り組みは。
 「2021年は83万人、昨年は146万人だった観光入り込み客数を新型コロナ禍前の年間300万人まで回復させたい。インバウンド(訪日客)は多い年で2万5000人が来ていた。これを10倍の25万人に増やしたい」
 「観光は平準化と、客単価の増加が課題だ。平準化に向けては平日、冬の観光の底上げが必要となる。冬については、会津若松観光ビューローの計画を基に12月にもアルツ磐梯(磐梯町)と猫魔スキー場(北塩原村)を連結リフトでつなぎ、3市町村を一体的なエリアにしていく。スキー場と会津の観光資源の連携が強まることで、誘客のめどが立つと思う。客単価を増やすため、宿泊施設の受け入れ態勢整備や土産品の開発をしっかり支援し、PRに取り組みたい」

 ―デジタル技術を生活に取り入れる「スマートシティー」の取り組みを市民にどのように浸透させるか。
 「『分かりにくい』という市民の声を重く受け止めている。ただ、仕組みは説明しても理解しにくい。仕組みを理解できなくても、市民に便利だと思ってもらえればいいと思っている。デジタル技術を活用したサービスの中には、利用する人が増えれば、今以上に便利になるものがある。便利になるまで、もう少し時間をいただきたい」
 
 県立病院跡地に子どもの居場所

 ―県立病院跡地に、子どもの屋内遊び場を主機能とする複合施設の整備が計画されている。どのような施設にしたいか。
 「屋内遊び場だけでなく、広い意味で子どもたちの居場所になるといい。屋内遊び場に遊具を設けることに加え、屋外にも芝生広場を設けて遊べるようにするつもりだ」
 「施設内では乳幼児検診を実施する。子どものさまざまな悩みに答える『聞き上手』を置くことも考えている。パソコンなどを使って描いた『デジタルアート』を展示する場所を設けるのもいいだろう。併せて収益機能がある民間施設を導入することを考えている。市民から要望のある映画館建設も含めて幅広く検討し、より良い施設にしたい」