【福島県議選・候補者アンケート】定数維持6割、削減へ意見慎重

 

 12日投開票の県議選の立候補者71人を対象にした福島民友新聞社のアンケートで、県議会定数の在り方を聞いたところ、6割を超える45人が「現行の定数を維持すべきだ」と回答した。本県は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の途上にあり、候補者からは被災地など地域の多様な意見を県政に反映させる必要性があることなどを理由に削減に慎重な意見が相次いだ。

 定数維持、多様な声反映に必要

 現在の県議の定数は58となっている。2019年の前回県議選は原発事故による人口減で双葉郡選挙区が強制合区の対象となったが、国の特例法を適用して定数を維持。今回は合区の対象外となった。人口減などを背景に全国的にも議会定数削減の動きは出ているが、県議会ではこれまで区割りの見直しなどを進める一方、削減にまでは踏み込んでこなかった。

 候補者からは定数維持の理由として「避難地域の復興が途上でその地域の議員減につながる定数削減は避けるべきだ」「県内は広大で地域によって異なる事情を県政に反映させる必要がある」などの意見があった。また、立候補者が過去最少を更新したことなどを踏まえ「安易な定数削減は女性や若年層の進出が難しくなる」との指摘もあった。

 「定数削減を進めるべきだ」との回答は15人、「どちらともいえない」は11人だった。定数削減を進めるべきだと回答した候補者は「人口減少に応じた適正な定数とすべきだ」「県議会も身を切る改革が必要」などとして検討の必要性を指摘した。

 定数削減だけではなく、人口や地域性を考慮したさらなる区割りの見直しを求める声もあった。

 女性、若者活躍できる場を

 議員のなり手不足や投票率低下などの課題解決に向けた、県議会の改革に必要な取り組みについても聞いた。最も多かったのは「女性や若者が活躍しやすい環境の整備」の27人だった。

 アンケートでは〈1〉情報公開の促進〈2〉立候補に伴う環境整備〈3〉女性や若者が活躍しやすい環境の整備〈4〉政策立案機能の強化〈5〉情報通信技術(ICT)化〈6〉その他―の中から一つを選択してもらった。2番目に多かったのは「政策立案機能の強化」の20人で、「立候補に伴う環境整備」11人、「情報公開の促進」「ICT化」が各4人と続いた。

 最多となった女性や若者が活躍しやすい環境の整備については「多様な意見を反映させるには女性や若者の参加が必要」などの声があった。今回の県議選の女性候補は前回より2人増えて8人となったが、全体に占める割合は1割強にとどまっている。また30代の候補者は7人で、20代はいなかった。

 設問以外では、社会の変化に対応できる迅速な議会運営や、立候補を容易にするための供託金廃止などを挙げる候補者もいた。

 内堀県政を「評価」8割

 県議選の立候補者71人に行った福島民友新聞社のアンケートでは、3期目を迎えた内堀雅雄知事の県政運営の評価も尋ねた。候補者の8割を超える58人が「評価する」と答え、来年で10年の節目となる内堀県政の手腕を肯定的に捉えた。

 「評価しない」と回答したのは8人、「どちらともいえない」としたのは5人だった。評価するとした理由で最も多かったのは「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの着実な復興」で17人だった。また、知事自ら59市町村全てを訪問したり、災害時にはいち早く被災地に足を運んだりと「現場主義の徹底」を評価する候補者も11人と多かった。そのほか、安定した県政運営やトップセールスなどによる発信力を挙げる声もあった。

 一方で「評価しない」や「どちらともいえない」と答えた候補者からは「県独自の政策が見えにくい」「県民への強いメッセージが足りない」などの意見があった。

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 調査方法 告示前に各立候補者に調査票を配布し、選択方式と記述方式で質問した。立候補した71人全員が回答を寄せた。