福島市、南北の「空白地区」焦点 福島県議選・終盤の情勢

 
▽党派の略称 自=自民党、立=立憲民主党、共=共産党、公=公明党、無=無所属。四角の枠囲いは推薦

 「それぞれの候補に地盤や支持団体があり、一分の隙もないくらいの激戦だ」「他陣営が切り崩しにかかってくる地盤を何としても守らなければ」。最終盤に差しかかった福島市選挙区。各陣営の演説では「少数激戦」を物語る言葉が飛び交い、8議席を現職7人、新人2人の9人で争う県都決戦は混戦の様相が色濃くなっている。

 多くの陣営が投票率を前回(41.47%)と同程度か下回るとみる一方、ある現職陣営は「前回より票を積まないと当選は厳しい」と地盤の引き締めに腐心する。新人陣営からも意識的に「地元候補」を強調する場面が見られる。前回、約8000票を得たが落選して引退した元自民県議の地盤の松川と、約1万票を集め、今期で引退する立憲民主現職が拠点とする大笹生といった市南部、北部の「空白地区」(現職陣営)の票の取り込みももくろみ、地盤を巡る攻防は熾烈(しれつ)を極めている。

 自民は現新4人の擁立で現有3議席からの伸長を狙う。元市議で新人の誉田憲孝は複数の市議と連携しながら選挙戦を展開。現職の佐藤雅裕は地盤の市西部や中心部を軸に票の上積みを狙う。渡辺哲也は北信、飯坂を重点に票を固め、演説の場も多く設ける。西山尚利は連日各地区で演説会を重ね、支持拡大を訴える。

 立民は現新2人で現有2議席死守を目指す。現職の高橋秀樹は南向台や渡利を中心に、出身労組の引き締めを図る。新人の半沢雄助は支援を受ける自治労と地元・松川の票固めを急ぐ。

 共産の宮本しづえは対話形式の街角演説を重ね、党支持層の票をまとめる。

 公明の伊藤達也は終盤にかけても地元の清水を中心に、改めて票を固める。

 立民から無所属に転じた大場秀樹は吾妻、吉井田を中心に遊説を続ける。

 会津若松市 浮動票「足」で稼ぐ

 4議席を巡って5人が争う会津若松市選挙区は、最終盤を迎えてもなお混戦が続く。現職4人と元職1人がしのぎを削る戦いには明確な争点が浮かび上がらず、無党派層をどれだけ取り込めるかが当落の分かれ目となりそうだ。

 夏までの無投票ムードから一転、7月の市長選を戦った元職の出馬によって各陣営とも、票の行方を読み切れない選挙戦となっている。政党や支持母体の色分けはあるものの、ある政党関係者は「浮動票の行方が今まで以上に大切になる」と指摘する。

 ともに自民の佐藤義憲、佐藤郁雄は、党の組織力と友好団体の公明党の支援、企業・団体などの支持母体を固めて2議席堅持を狙う。立民の宮下雅志は衆院副議長を務めた故渡部恒三の支持層を柱に据える。無所属の渡部優生は連合福島、県電力総連の支援に加えて、河東町の地盤を守る。水野さち子は市長選で約1万3700票を得た勢いを追い風にする。

 2019年の前回県議選で4000票超を集め、今回候補者擁立を見送った共産支持層の動向も注目の一つだ。各陣営とも市内をくまなく遊説し支持拡大を図るが「当落ラインはだんご状態」(政党関係者)。投開票まで激戦は必至だ。(敬称略)