二本松市、当選ライン8000票台予想 福島県議選・終盤の情勢

 
▽党派の略称 自=自民党、立=立憲民主党、共=共産党、公=公明党、無=無所属。四角の枠囲いは推薦

 推薦候補を含め現新で2議席死守を掲げる自民と立民の新人による混戦が続く。引退する遊佐久男の地盤で草刈り場となった旧安達町や大票田の旧二本松市の得票が当落の鍵を握る。

 自民推薦の石井信夫は遊佐後継を前面に打ち出し、地盤の東和、安達を中心に浸透を図るとともに旧市でさらに票の上積みを図る。

 自民現職の高宮光敏は2期の実績と知名度を武器に地盤の旧市西部や岩代をはじめ、市全域に巡らす後援会組織をフル稼働させる。

 立民の鈴木雅之は連合福島などの支持を受け、非自民勢力の結集と若さをアピール。自身と同じ子育て世代の浮動票獲得を狙う。

 各陣営とも投票率は50~55%前後、当選ラインは8000票台と予想する。

 河沼郡 票田、坂下の行方を注視

 自民現職の小林昭一と立民新人の猪俣明伸が激しい戦いを繰り広げている。12年ぶりの選挙戦とあって両陣営とも票読みに苦慮しているが、票田の会津坂下町が勝敗の鍵を握るとみて、動きを加速させている。

 小林は本県選出のほか、つながりのある国会議員や県議の支援を受け、支持拡大を図る。3期12年の実績を強調しながら街頭演説に注力し、票固めを急ぐ。

 猪俣は100回を超えるつじ立ちで人口減少対策などを訴え、知名度向上や若い世代の取り込みを進める。党代表も選挙区に入るなど攻勢を強めている。

 大沼郡 継続と刷新、美里を重点

 「継続」を掲げる自民現職の山内長と「刷新」を訴える立民新人の加藤志津佳。20年ぶりの選挙戦は対照的な2人による熾烈(しれつ)な争いだ。

 山内は最終盤に向け、県内外の国会議員を弁士に招いた街頭演説に力を入れる。加藤は名前の連呼を避けつつ、街頭演説を通して若者世代への浸透を図る。

 両陣営とも奥会津3町村でも切れ目なく遊説する日程を組むものの、ポイントは大票田の会津美里町。激戦となった2021年4月の町長選のしこりが残る中、支持層が複雑に入り乱れており、ともに組織の引き締めに躍起だ。

 南会津郡 無党派や子育て世代が鍵

 いずれも新人で、自民推薦の大桃英樹と無所属渡部英明が一騎打ちを繰り広げている。大桃が引退する現職の支持基盤を固める一方、渡部は大票田の南会津町田島を中心に支持を訴える。

 ともに南会津町職員を経験しており、支持層は複雑に絡み合う。大桃は南会津町議3期の政治経験をアピールし「持続可能な地域づくり」を主張する。渡部は行政区長や行政書士の経験を基に「地方創生と人口減対策」を掲げる。

 若年層の多くが態度を決めていないとみられ、無党派層や子育て世代が勝敗の鍵を握りそうだ。(敬称略)