【福島県議選・勝者なき戦い】自民、吹いた「逆風」 議席減らす

 
硬い表情で当選者の名前にバラを付ける西山幹事長(右から2人目)=12日午後11時30分ごろ、福島市・自民党県連会館

 第20回県議選が終わった。既成各党はそれぞれ課題に直面し「勝者なき戦い」といえる結果が突き付けられた一方、県政界で新勢力の台頭が見られた。各党の動きを追った。

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 「獲得した議席以上に、内容は厳しい結果と言わざるを得ない。自民党に対する"逆風"の表れだ」。県議選の開票結果が出そろった12日深夜、福島市の自民党県連会館の壁には擁立候補29人の当選を示すバラが並んだが、結果を待つ役員らは終始硬い表情を崩さなかった。

 自民は、党勢拡大を狙い推薦を含めて現新33人を擁立したが、県連三役の要職にある現職や当選9回のベテランを含む4人が落選。議席を改選前の31から29に減らし、単独過半数に届かなかった。候補者の得票数は全体で約4万7000票減り、得票率は42.5%と前回から約4ポイント低下した。

 選挙期間中、政務三役の相次ぐ不祥事や物価高対策への批判などを背景とした岸田内閣の支持率低迷から「逆風」を感じる候補者は多かった。複数の陣営からは「有権者の反応に敏感な車上運動員が途中から『自民党』と言わなくなった」との声も漏れ聞こえていた。

 県連は、都市部を中心にこうした世論が非自民系の無所属候補らの高い得票につながったと省みる。

 「非自民票」は立憲民主や共産など県議会に議席を持つ既成政党ではなく、無所属や若手の候補に流れた向きもあった。「保守であれ革新であれ、有権者が今までと違うことを求めている表れかもしれない」。県連幹事長の西山尚利は悔しさをにじませる。

 告示1週間前に現職が出馬を辞退し、構図が一変したいわき市でも現職の票を短期間に振り分けることは難しく、保守層の票を守り切れずに議席を4から3に減らす結果になった。

 衆院小選挙区の区割り改定後初めてとなった今回の県議選は、与野党の一騎打ちとなった1人区を中心に次期衆院選の前哨戦の色合いも濃く、各地で地元選出議員らがしのぎを削る場面が見られた。自民が重点区に設定した二本松市、石川郡、河沼郡、大沼郡、南会津郡の5選挙区には地元議員や無投票当選の県議らが連日応援に入った。てこ入れが奏功し、定数58の半数を確保できた側面も大きいが「2勝3敗の非常に厳しい結果だ」と西山。「県議選の結果は衆院選に直結する。しっかり立て直しを図らなければ」と強い危機感を示した。(文中敬称略)