【福島県議選・勝者なき戦い】共産、戦略練り直しへ 公明も焦燥感

 
県議選の議席の行方を見守る町田委員長(右)ら。今後の選挙戦略の練り直しも視野に入れ、党勢拡大を目指す=12日夜、福島市・共産党県委員会

 「今の政治を変えたいという声を受け止めきれなかった」。県議選の結果が出そろった12日夜、共産党県委員長の町田和史は改選前から1減となった県議選の結果に肩を落とした。共産は、現有5議席からの伸展を狙い5選挙区に現新6人を擁立した。しかしいわき市で現職、須賀川市・岩瀬郡で新人が落選し、12年ぶりに交渉会派(5議席以上)の立場を失った。

 与党への逆風がささやかれる中での厳しい結果に町田は「これまで当たり前だった戦い方が少しずつ変わってきている」と語った。選挙戦では従来同様、街頭宣伝を中心に支持拡大を図った。しかし、交流サイト(SNS)を積極活用した候補者が上位に入るなど「変化」の兆しを感じたという。党は今後、戦略の練り直しを視野に入れる。

 候補者全員が当選し現有4議席を確保した公明も勝利の色は薄い。「最低でも1万票は取れると思っていた」。12日深夜、当選に沸く福島市の選挙事務所で陣営幹部は漏らした。候補者の伊藤達也は党県本部幹事長の要職だが、目標の1万2千票を2割近く下回った。

 公明は、選挙戦で現職4人全員が焦燥感を前面に打ち出した。党は4月の統一地方選で過去最多の12人が落選するなど「異常事態」(県内陣営)の渦中にあったためだ。ある陣営は期間中、「千票は簡単に動く」と繰り返した。党幹部が相次いで応援に入ったが、前回トップ当選した党県本部代表の今井久敏を除く3人は、各千票前後を減らした。今井は「政権批判の風を感じる選挙だった」と胸の内を告白。県政発展に尽くす姿勢を強調した。

 新たな勢力、足掛かり

 既成政党がいずれも「勝利」を手にできない結果となった中で、新たな勢力が県内での党勢拡大に向けた足掛かりを得た。日本維新の会はいわき市で県内初めての議席を獲得。県総支部幹事長を務める山口和之は「県政改革への大きな一歩」と手応えを語り、今後も各選挙で議席獲得を目指す考えだ。同じいわき市ではれいわ新選組推薦の新人も初当選。新たな県議会でどれだけ存在感を示せるかが注目される。(文中敬称略)