【首長に聞く】飯舘村長・杉岡誠氏 なりわい再建、ふるさと再生
飯舘村は、東京電力福島第1原発事故による避難指示が大半の地域で2017年3月末に解除され、昨年5月には長泥地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)と復興拠点外の一部でも解除された。復興拠点の地域再生や営農再開といった課題が山積する中、25年春には村中心部に待望の商業施設が開業するなど明るい兆しもある。杉岡誠村長は「なりわい再建に力を入れ、古里の再生と発展を推し進めていきたい」と語る。
―復興の現状は。
「全国からの村への復興支援が今も継続している。復興に向けて歩む村の姿を発信することで、支援に応えていきたいと改めて強く思う。その一例として直近7年間で24の事業者が村に拠点を構えて活動している。村に可能性を感じて村を選んでくれたことはなりわいの再建に向けた明るい動きだ。今後も企業誘致や起業支援を継続していく」
―長泥地区の展望は。
「長泥地区は昔から『花の里長泥』として親しまれてきた。地域住民が手入れしている桜が満開になる時期には多くの人に長泥に足を運んでほしい。復興拠点外に整備する堆肥製造施設が完成し、さらには営農が再開されれば、雇用が生まれるだろう。避難している住民のほか、若い世代にも長泥での暮らしを選択肢に入れてもらえる環境を行政として整備する必要がある」
―今後の村の復興像は。
「25年春に予定しているハシドラッグの新規出店は、村内の生活環境の向上へ大いに期待できる。実施中の移動販売などとの相乗効果で、商業と福祉の充実を図る『商福連携』を推進していきたい。住民は古里の担い手だ。村の基幹産業である農林畜産業や商工業を振興させ、村に関わる全ての人が輝ける魅力ある村を目指していきたい」
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