粘走の福島18位、都道府県対抗女子駅伝 4区・鈴木葵、初の区間賞

 
表彰式で区間賞の賞状とトロフィーを受け、充実した表情を浮かべる鈴木

 第42回全国都道府県対抗女子駅伝は14日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に9区間42・195キロで行われ、本県は2時間20分46秒で18位だった。また4区(4キロ)の鈴木葵(ニトリ、福島明成高卒)は12分51秒で区間賞を獲得した。宮城が2時間16分30秒で29年ぶり2度目の優勝。2位は京都、3位は広島だった。

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 【経過】1区湯田は25位、2区平尾は26位と序盤は苦戦を強いられたが、3区丹野が二つ順位を上げて勢いづけると、4区鈴木は7人抜きの区間賞を獲得する走りで17位まで押し上げた。5区山田は3人抜き、6区岩崎は区間8位と力走し13位に浮上した。しかし、7~9区は区間20位台で上位との差を詰められず、総合18位で入賞には届かなかった。

 鈴木、本能の走り 7人抜き

 快晴の都大路を誰よりも速く駆け抜けた。4区の鈴木葵(ニトリ、福島明成高卒)は7人抜きの好走で、自身初めての区間賞を獲得。表彰式で賞状やトロフィーを受け取ると、充実した表情を浮かべた。

 「本能で走ろう」。レース前、心の中でそうつぶやいた。「4キロという短い距離の中で、ちゅうちょしたくなかった」と鈴木。レースに欠かせない腕時計を外して自らを追い込み、自分の力を信じた。鈴木を含めた3人の団子状態でたすきを受けると、スピードに乗って一気に2人を置き去りにした。そこからは「何人抜いたか分からない」と愚直に前へ。終わってみれば、本人も驚く区間賞だった。

 背中を押してくれた恩師の存在も大きかった。高校時代に教わった三浦武彦教諭が今大会、選手団役員としてチームに帯同した。レース前の中継地点では「区間賞いけるよな」と荒っぽい激励を受け「安心できた」と鈴木。昨年は体調不良で出場できなかったが、実業団選手としての期待に応える走りで報いた。

 区間賞を励みに、今後は1500メートルを主軸に国際大会での活躍を夢見ている。鈴木は「日本のレースでポイントを取って、世界で戦えるように上を目指したい」と誓った。(佐藤智哉)

 9区石井、亡き恩師の故郷で勇姿

 「監督、私頑張ってるよ」。アンカーを務めた石井寿美(シスメックス、学法石川高卒)は特別な思いを胸に京都のまちを走り切った。

 2022年12月に所属するシスメックス監督で京都市出身の森川賢一さんが亡くなった。石井が高校卒業後に入社したヤマダ電機で出会い、森川さんが21年にシスメックスの監督に就くと、石井も後を追って同社に移籍。信頼を置き、慕っていた恩師の急な訃報(ふほう)に「心にぽっかりと穴が空いた」ような気持ちだった。だからこそ、恩師の故郷で走る今大会には特別な思いがあった。「いい走りを見せたい」。この日は区間28位でフィニッシュし、思うような成績ではなかったが「今日も中継所にいるような感覚だった」と、森川さんの顔が自然と浮かんだ。

 「監督に私の頑張りが伝わったら良いなと思ったが、なかなか簡単じゃない。また1年、教わったことを大事にして強くなって戻ってきたい」。来年は結果で恩返しする覚悟を示す石井の頬に涙が伝った。(南哲哉)

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(写真)アンカーを務め、フィニッシュする石井=たけびしスタジアム京都

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