いわきFC、ホーム開幕戦ドロー 今季初の勝ち点、岡山に1-1

 
【いわき―岡山】ホーム開幕戦の終了間際、いわきのMF谷村(右)が同点ゴールを決め、喜びを爆発させるいわきイレブン =3日、ハワイアンズスタジアムいわき

 サッカーJ2のいわきFCは3日、ホームのハワイアンズスタジアムいわき(いわき市)でファジアーノ岡山と対戦し、1―1で引き分け、今季初となる勝ち点1を獲得した。いわきは1分け1敗で、順位は20チーム中15位。

 いわきのホーム開幕戦には4241人が集まった。いわきは前半終了間際に先制を許したが、後半19分に相手がレッドカードで退場すると、数的優位の状況で攻勢を強めた。試合終了間際、セットプレーからのこぼれ球にMF谷村海那が反応、右足で流し込み、引き分けに持ち込んだ。

 いわきは次戦の9日、ハワイアンズスタジアムいわきに鹿児島ユナイテッドFCを迎え、今季初勝利を目指す。午後2時開始予定。

いわきFC

【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】いわきが土壇場で同点にこぎ着けた。横殴りの強風が吹き付け展開を左右した。風下に立った前半はロングボールが機能せずに苦戦。パスミスから何度も決定機を許し、CKから失点した。風上に立った後半は攻勢を強め、後半19分にMF加瀬のプレスが相手の退場を誘うと、完全に主導権を握った。ただその後も攻めあぐね、後半最後のプレーとなったFKで何とか追い付いた。

 こぼれ球、冷静ヒール

 後半ロスタイムのFK、クロスの競り合いからこぼれたボールの先にいわきのMF谷村海那がいた。ゴールを背にしていた谷村は迷わず右足のかかとでシュート。ボールがゴール隅に収まると、会場からこの日一番の歓喜が上がった。GKまで参加した決死の攻撃をものにし、勝ち点「1」をもぎ取った谷村は「みんなが粘り強く頑張ってくれたおかげ」と味方をねぎらった。

 それでも、試合後の谷村の表情は晴れない。土壇場で追い付きこそしたが、内容は敗戦に限りなく近かったからだ。「どうやってでも勝ち点を取る意識で練習してきた。最後の最後の攻撃だったからうれしかった」と喜ぶのもつかの間、「戦い方を考えないと、今後はもっと苦労する」と危機感を口にした。

 前半は自陣でのパスミスから多くの決定機を相手に許した。後半19分に相手DFが退場となってからも、効果的な攻撃は数えるほど。数的優位を生かせず、相手を押し込む時間を長くつくれなかった。田村雄三監督の指示の頻度は高く、激しい口調だった。その原因を谷村は「横パスが多かった。もっと前への意識を上げて、縦パスを入れないといけない」と分析した。

 今季の目標である1試合あたり1・7得点の攻撃をするには、まだ時間が必要だ。「選手個々が状況判断の部分で課題がある。そこは経験を積み上げていくしかない」と指揮官。チームの成長を長い目で見ている。(小磯佑輔)