いわきFC、3戦ぶり白星 後半2発、大分を引き離す

 
【大分―いわき】後半29分、頭で追加点を決めたDF照山(左)=レゾナックドーム大分

 サッカーJ2第11節ー。いわきFCは21日、アウェーのレゾナックドーム大分(大分市)で大分トリニータと対戦し2―0で快勝、リーグ戦3試合ぶりとなる勝ち点3を手にした。通算成績は4勝4分け3敗で、順位は20チーム中8位に浮上した。

 いわきは前半を0―0で折り返すと後半14分、FKを相手GKがクリアしたこぼれ球を途中出場のFW近藤慶一が左足で押し込んで先制。同29分にはCKの流れからDF照山颯人が頭で合わせて追加点を決めた。その後も最後まで相手に流れを渡さず、無失点でアウェーでの貴重な白星をつかんだ。

 いわきは次戦の28日、アウェーのカンセキスタジアムとちぎ(宇都宮市)で栃木SCと対戦する。午後2時開始予定。

大分戦スコア

【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】主導権を握り続けたいわきが快勝した。豊富な運動量と攻守の切り替えの速さが光った。前線からプレスをかけて相手のパス回しを阻み、ロングボールにも隙なく対応。ボールを奪うと速攻に巧みなパス回しを織り交ぜ、好機を演出した。攻め込んだことで得たFKとCKから2得点を挙げた。守っても相手をシュート3本に抑え、危なげなくリードを守った。(小磯佑輔)

 走る照山、攻守の主役

 うっぷんを晴らすように走り勝ついわきのサッカーがさく裂した。「上位に食らいついていくために絶対負けられない試合だった。勝ち点で並ぶ大分に勝てたのは大きい」。チーム2点目を挙げ、YBCルヴァン・カップを含めて4戦ぶりの勝利を大きくたぐり寄せた守備の要、DF照山颯人は充実感をにじませた。

 いわきの生命線は、前線からボールを果敢に奪いに行く攻撃的な守備だ。直近のリーグ戦2試合で計5失点したことを受け、田村雄三監督が求めたのが、さらなる走力だった。田村監督はDFラインを動かす速さやボールを保持した相手に対応する速さを重視し「選手にしっかりと話してきた」と戦術の浸透を図った。

 指揮官の要求にしっかりと応えてみせるところが、昨季からの成長の証しだ。最後まで運動量を落とさず、相手の攻撃を封じ込めた。「隙を見せずに戦えた」と手応えを口にした照山。田村監督は「いつも9キロくらいしか走らない照山が今日は11キロくらい走った。あれだけ走れると、前に人数をかけてボールを奪いに行ける」と照山の姿勢を評価した。

 この日はチーム編成にも大きな変化が見られた。JFL時代から出場を続けてきた最古参のMF山下優人がベンチから外れた。チーム内の競争をあおるための「荒療治だった」と狙いを明かした田村監督。追い打ちをかけるように選手へ発破をかけた。「オフ明けの練習が楽しみかなと思っています」(小磯佑輔)

 五十嵐、狙い通りアシスト

 いわきのDF五十嵐聖己(せな)(尚志高卒、郡山市出身)はDF照山颯人による追加点をアシスト。「目に見える結果としてアシストが付いて良かった。テルくん(照山)に感謝したい」と喜んだ。

 1点リードの後半29分。CKの流れからボールを持った五十嵐は「遠いサイドに3人くらい味方が見えた。誰かしら触ってくれれば」と狙い通りにボールを供給し、ゴールを呼び込んだ。

 13日の清水戦では自身のミスが失点につながった。アシストの活躍にも「挽回できたとは思っていない」ときっぱり。「流れの中でのアシストや得点ももっと狙っていきたい」と貪欲な姿勢をのぞかせた。