いわきFCは最後まで諦めない ラストプレーで同点弾、ホーム開幕戦

 
今季初の勝ち点を獲得したいわきFCイレブン。試合後、次戦の勝利を誓いながらサポーターにあいさつした=ハワイアンズスタジアムいわき

 最後まで諦めないサッカーを貫き、執念のラストプレーで勝ち点1をもぎ取った。引き分けに終わった3日のホーム開幕戦。復興の象徴的存在であるいわきFCイレブンは「3・11」という大事な日を目前に控え、らしさあふれるプレーでサポーターを勇気づけた。「福島に勝利を届けたい」。選手らはスタンドの声援に感謝しながら、次戦の勝利を固く誓った。

 「サポーターの声援が1点につながった」。土壇場で引き分けに持ち込んだ試合を振り返り、田村雄三監督はサポーターへの感謝の言葉を語った。前節の開幕戦は黒星を喫し、チーム全体で「連敗はできない」と気持ちを高めて臨んだホーム開幕戦だった。指揮官は「いわきFCは被災地の勇気や希望とならなくてはいけない。次戦は勝利を届けたい」と語気を強めた。

 後半ロスタイムに同点ゴールを決めたMF谷村海那も「最後まで諦めずにゴールを狙っていた。サポーターの声援が頼もしかった」と感謝し、「次戦の勝利に向けて練習からこだわっていきたい」と意気込んだ。尚志高出身のMF加瀬直輝は「福島のために貢献する気持ちは強い。一番(大事なの)は勝利を届けることだ」と決意を述べた。

 今季チームは昨季から約半数が入れ替わっている。いわきFCを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長は「勝ち点をつかみ、新加入選手や若い選手は自信をつかんだはず」と手応えを語った。

 対戦したファジアーノ岡山には、昨季途中までいわきを指揮した村主(すぐり)博正前監督がコーチとして所属している。村主氏は「いわきは愚直によく走る。(この日の試合は)攻守でいわきらしさが出ていた」とたたえた。妻が福島市出身という縁もあり、「サッカーを通して復興を応援する思いは変わらない」と本県への思いを口にした。