鋳造...継承と革新 福島製鋼、70周年 国内外トップクラスシェア

 
「100年企業を目指して世界一の製品を提供し続ける」と語る登坂社長

 自動車鋳造部品などの製造を手がける福島製鋼(福島市)は19日、創立70周年を迎える。自動車や建設機械などの重要部品は国内外でトップクラスのシェアを誇り、福島から自動車産業を支えてきた。登坂明弘社長は「鋳造技術の継承と革新を続け、社会から必要とされる企業であり続けたい」と展望を語る。

 福島製鋼は1953年に設立、日野自動車グループの部品製造を始めた。現在の従業員数は約780人。吾妻工場(福島市)と相模工場(相模原市)の2拠点で、主に自動車や建設機械、鉄道車両の鋳造品を生産する。新幹線車両の連結器は国内シェア100%を占め、鋳造以外でも要望に応じた加工を施して付加価値を高めた部品などを出荷、取引先から強度や品質面で高い評価を受ける。

 着実に販路を拡大してきた中で、生産性の向上や作業の効率化、労働環境の改善も進めてきた。主力製品の一つで大型トラックの車軸を支える「ハウジング」を製造する過程で切断するロボットを導入。これまで高度な技術を必要とする過酷な作業を手作業で行っていた作業員の大幅な負担削減につながった。3Dデータも活用し、効率よく高品質な製品を作り上げている。

 従業員を第一に考え、安全に働く環境づくりにも力を入れる。工場で起こり得る危険を体験できる「安全道場」を社内に設置し、社員のレベルアップと安全意識の向上を図る。

 世界規模での技術競争に打ち勝つため「いかに上手に安く作るか」を試行錯誤してきた。今後も地域で輝き続ける企業であるために、登坂社長は「時代に合った素材を提供し続けることが重要」と強調する。軽量化が進む自動車などで需要が高まる薄肉軽量で強度の高い製品開発を今後も進めていく考えだ。

 4月20日、記念式典

 同社は20日、福島市で記念式典を行い、新たな一歩を踏み出す。登坂社長は「100年企業を目指して世界一の製品を提供し続ける」と未来を見据える。