【参院選・女性の視点】子育て 働く女性...保育所に空きがない

 

 県内で最も多い97人(4月1日時点、速報値)の待機児童を抱える福島市。市内に住む会社員加藤桂子さん(30)も希望がかなわなかった一人だ。夫も働いており、4月に1歳の長男を保育所に入所させたかったが第3希望まで空きがなかった。「友人にも共働き世帯が多い。もっと働く人に寄り添った子育て施策を考えてほしい」。働く女性の立場から切実な思いを訴える。

 毎朝、近くに住む夫の母親に長男を預けてから出勤しており、義母を気遣い入所を申し込んだ。「自分と違い子どもを預けられる家族がいない人もいる」。入所は難しいと思っていたが、市担当者からは入所できない詳しい理由は示されず、「個別の家庭の事情まで分かってもらっているのか」との思いを消すことができない。

 県内の待機児童数は274人(12市町村)で、約8割が0~2歳。5年ごとに行われる総務省の就業構造基本調査(2017年)によると、県内の15歳以上の人口のうち、女性の有業者は41万1000人で、12年より3900人増えた。待機児童の背景には働く母親の増加が見て取れる。

 県内では、男性の育休取得支援や女性の在宅勤務などを認める企業の動きが広がっている。自治体でも妊娠から出産後までを支援する「子育て世代包括支援センター」の設置が進む。ただ、10月に幼児教育・保育の無償化が始まれば保育需要の増加も見込まれるため、保育施設の整備に加え、保育士確保も重要となる。

 本県の出生数(18年)は過去最少を更新しており、第2子以降の出産をためらう"2人目の壁"が存在する。「子どもは2、3人ほしいかな」。加藤さんは、働く女性が笑顔になれるような社会の実現を候補者に託すつもりだ。

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 「7月4日公示―21日投票」で行われる参院選の福島選挙区(改選1)では、女性2人が立候補を表明している。公示まで3日と迫る中、県内の女性が政治に何を求めているかを追った。