【参院選・女性の視点】農林水産業 痛感...「女性の地位低い」

 

 県内の耕地面積は農家の高齢化や担い手不足を背景に減少傾向が続き、2018(平成30)年は14万800ヘクタールと震災直後の11年と比べ3700ヘクタール減少した。「農業は言葉を発しない植物が相手。子育てのように、異変にいち早く気付ける女性も向いているはずなのに、男性中心だ」。会津若松市の農業、須藤ボンド亜貴さん(42)は女性の進出による農業の未来を思い描く。

 自宅近くにある水田。青々としたコシヒカリの苗が広がり、無農薬栽培のため飼育しているアイガモの群れが泳ぐ。夕方の餌やりでは、数日前にキツネに襲われた影響なのかアイガモが逃げてしまった。「農業は大変。その物語を消費者にも共感してほしい」と額に汗をにじませて笑った。

 須藤さんはポーランドで日本語講師や芸術関係の仕事をしていた。東日本大震災を機にスコットランド出身の夫と、実家の農業法人「すとう農産」で働くことを決意。14年に就農し、営業なども担当している。

 古里に戻って感じたことがある。「日本の農業では女性の地位が低い」。働き盛りの男性が会社に勤め、家に残った人が農業を担う「三ちゃん農業」が昭和に流行したが、今は人手不足がさらに深刻な時代。「『かあちゃん』が本格的に参入すれば、担い手となって耕作面積は広がる」と訴える。

 一方、日本の農業は機械化による規模拡大に向かっている。「悪いことではないが、投資が難しい農家にも目を向けてほしい」

 17年5月から1年間の県内の新規就農者は女性57人を含む219人で、震災前の水準を上回る。それでも17年の農業就業人口は5万8400人と、全体的には前年から約5000人減った。須藤さんは「語学が堪能だったり、ブランド化が得意な女性農家が地域にいる。個性を生かせる環境が必要だ」と注文する。