物価高に注力、復興の訴え少なく 首都圏9党首演説、民友記者ルポ
参院選は10日の投開票に向けて終盤戦に入り、与野党9党の党首は演説のボルテージを上げている。第一声を除いて各党首が首都圏で行った街頭演説を聞いて回った。東京電力福島第1原発事故から11年が過ぎ、本県復興に向けた訴えを耳にする機会は少なく、物価高の対応などを中心に論戦が繰り広げられている。県民も直面する争点の柱に着目した。(東京支社・辺見祐介)
「エネルギーと食料に特化した対策を講じる」。観光客でにぎわう浅草・雷門前で、自民党総裁の岸田文雄首相は声を張り上げた。「価格高騰で将来に不安を抱いている」と国民に寄り添う姿勢を強調。賃上げについて「政府が呼び水となる」と気勢を上げた。
帰路に就く人たちが行き交うJR三鷹駅前。立憲民主党の泉健太代表が「時限的に消費税を引き下げるべきではないか」と訴えると、聴衆が拍手を送った。防衛費増額について「どこにお金を優先させるのか」と、自民党は庶民生活に目を向けていないと批判した。
「短期間の再稼働を」。日本維新の会の松井一郎代表は、原発再稼働による電気代の負担軽減の必要性を訴えた。再稼働を巡る政権の対応について「(岸田氏は)聞く耳は持つが、実行しない」と切り捨てた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「再生可能エネルギーの賦課金の徴収を一時停止する」として電気料金の値上げを抑制すると強調。10万円の給付などを柱とした家計支援策の実現に意欲を示した。
共産党の志位和夫委員長は、アベノミクス以来の「異次元の金融緩和」が円安と物価高の要因だと指摘。「消費税は大企業の減税の穴埋めに消えてしまった」として、重ねて消費税5%への緊急減税を提起した。
社民党の福島瑞穂党首は「非正規雇用の増大に歯止めをかける。最低賃金1500円を実現する」と声を振り絞った。消費税ゼロや企業の内部留保への課税、給食費の無償化などの政策も訴えた。
「減税だけではどうにもならない。廃止しなければならない」。れいわ新選組の山本太郎代表は消費税廃止が物価高を巡る即効性のある対策だと強調した。
消費税減税や廃止を迫る野党の主張に対し、公明党の山口那津男代表は「社会保障の財源をどう確保するのか」と応戦。5兆5000億円の予備費を活用した緊急対策を実現させた実績をアピールした。
NHK党の立花孝志党首は「いつ病気になり、仕事ができなくなるのか分からない。最低でも年収300万円が保障されなければならない」と訴えた。
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