ラーメン道...86歳生涯現役 喜多方、大安食堂創業者の遠藤進さん

 
開業以来、妻昭子さんとラーメンを作り続けている遠藤さん(左)

 創業45年を迎えた喜多方市の「大安食堂」。創業者の遠藤進さん(86)は「喜多方ラーメンの味を後世につないでいくことが自分の使命」と現在も調理場に立ち、地元客や観光客にラーメンを提供している。

 午前2時に仕込み

 遠藤さんは喜多方中を卒業後、当時地場産業の一つだった繊維関連の会社に就職した。東京都内の工場でさらなる技術を習得後、喜多方に戻り、妻昭子さん(79)と結婚した。

 幼い頃から喜多方ラーメンが大好物で「喜多方ラーメンを食べて育った」という遠藤さん。昭子さんが製麺業の朝日屋食品(喜多方市)の三女だったこともあり、41歳の時に一念発起し、大安食堂を開業した。

 ラーメン作りは未経験だったが、実家の製麺業を手伝っていた昭子さんからアドバイスを受けながら試行錯誤を繰り返した。最終的には遠藤さん好みの「どこか懐かしさを感じる正統派喜多方ラーメン」に仕上がった。現在も開業当時と変わらない味を提供している。

 遠藤さんは開業から45年間にわたり、午前2時に起きて仕込み作業をする生活を続けている。「昔から変わらずにこの生活を続けていることが元気の秘訣(ひけつ)かもね」と笑う。

 「博物館」1日500杯

 昨年10月末からは約2カ月間にわたり、横浜市の新横浜ラーメン博物館に出店。1994年の博物館開業時以来の長期出店となったが、遠藤さんは期間中、ホテル生活を送りながら、一日約500杯を作った。

 「この味を求めてくれる人がいる限り、まだまだやめられないね。一生現役でラーメンを作り続けたい」。遠藤さんはこれからもお客さんの笑顔を見るため、店舗に立ち続ける。(阿部二千翔)

240327news7011.jpgどこか懐かしさを感じる大安食堂の喜多方ラーメン