浪江町長選「もっと手応えほしい」 全国に有権者もどかしさ

 

 「もっと手応えがほしい」。県議選と同日程で5日に告示された浪江町長選。移動距離や時間の制約から県内の有権者に的を絞り選挙戦を展開する各陣営だが、町民が全国46都道府県に分散するだけに声は届きにくく、もどかしい戦いを強いられている。

 ある陣営の選対事務所には「転居先不明」として返送されてきた候補者のリーフレットや選挙用はがきが高く積まれている。「3割から4割ぐらいは戻ってきてしまう」。選対関係者は届かない声を嘆き、「原発事故の被災地であっても町民に主張できる環境を整えるべきだ」と訴える。

 各陣営とも、県内の仮設住宅や復興公営住宅など町民が集中する場所を中心に遊説を展開するが「借り上げ住宅などに住む有権者は、どこに住んでいるか分からないのが現状」と浸透の難しさを話した。

 こうした中、候補者の一人は9日、都内の数カ所で遊説した。浪江町の何倍もの人たちが行き交うハチ公前交差点で、マイクを握った候補者は「選挙で町のトップを選ぶこともできない。原発事故で放射能も吹き飛んだが、民主主義の根幹も吹き飛んだ」と訴えた。

 演説を聴いた浪江町の三原優蔵さん(61)=千葉県柏市に避難=は「町の現状を首都圏の人に分かってもらうには良かった」と話した。

最優先は地域経済 石川町 無職中西信夫さん(73) まずは地域経済の活性化が最優先の課題と感じている。また、若者が地元で働けるように企業誘致などで働く場を確保することも大切だと思っている。県議には突破口を開いてほしい。