【18歳選挙権・新有権者の視線】政治参加のきっかけに まず投票所に足運ぼう

 
昇降口に貼ってある若者向けの参院選啓発ポスターを見つめる高校3年生=21日午後、福島市・橘高

 公示直前で世の中の選挙ムードが高まる中、ある候補の選対幹部は高校の通学路や大学前で演説に立ち「(政治に)無関心ではいられても、無関係ではいられない」と声を張り上げていた。新たな有権者が政治に影響を及ぼすには、投票所に足を運ぶことが第一歩になる。

 県内の高校で唯一、参院選で期日前投票所が設置される田村高。菊田妃菜(ひな)さん(18)は「初めての投票は不安だけど、学校なら安心」と話す。投票日は部活で時間が取れないため、期日前に学校で投票を行うつもりだ。

 生徒の居住地がばらばらのため、所管する選管もまたがり、対象者も3年生のごく一部。高校への投票所設置は思い切りが必要だ。三春町選管が投票所を設置する田村高の場合も対象者は三春町民の13人。さらに、二重投票を避けるシステムなどが必要なため約200万円の費用が掛かるが、同選管はそれでも高校に投票所を置く意義があると考えている。

 町選管の担当者は「学校に投票所があれば投票しやすいし、初めての選挙で投票すれば次の選挙でも投票しようと思うはず。投票権のない生徒も選挙を身近に感じられる」と将来を見据える。

 一方、今月14日に行われた生徒会選挙で、本物の投票箱を使い信任投票を行った保原高。同校の新聞部が全校生に「投票権を手に入れたら選挙に行くか」などを聞いた意識調査では、半数近くが「行く」とした一方、4割超は「分からない」と答えた。菅野幸博さん(18)も「投票に行くかは分からない」。例えば生活に身近な消費税増税再延期など、争点とされるニュースを「ちゃんと理解した上で投票しなければ」と真摯(しんし)に向き合う。

 県内の18、19歳は全有権者の2%。若者の投票率が低いままでは、政治家から若者向け政策は票にならないと軽視される。今回の参院選を好機にするため、新有権者も選管も手探りながら、初めて10代が投票する歴史的な選挙を迎える。