福島県知事選で「主権者教育」 実際の候補者名、公報など活用

 

 10月11日告示、同28日投票の知事選に合わせ、県選管は選挙期間中、県内6高校で実際の候補者名で模擬投票を行う「模擬知事選」を実施する。高校3年生の一部を含む「18歳選挙権」が適用されてから初の知事選で、有権者として初めて知事選に臨む生徒らに模擬選を通して実践的な主権者教育を行い、若年層の低投票率の解消にもつなげる。

 模擬選は各校の要請に応じ、県選管が実施する。選挙期間中に実際の候補者の選挙公報や新聞記事を活用、各候補者の政策を比較、分析する事前学習(1~2時限程度)に取り組んだ上で、模擬の1票を投じる。知事選開票後に開票作業を行い、知事選の選挙結果との比較や考察などを行う。知事選期間中の模擬選で、学校側には政治的中立性への配慮などが一層求められるため、いかに実践的な形で事前授業などを行うか、学校現場では教員が試行錯誤を重ねている。

 模擬選は22日現在、福島東、会津、只見、いわき海星、ふたば未来学園、安積・御舘の各校で予定されている。対象生徒は全学年や3年生限定など各校で分かれるが、知事選で投票権のない生徒にとっても本物の選挙公報などを使ったより実践的な学習で、主権者としての意識付けを図る。

 高校生の政治や選挙への関心を高める取り組みとして、県選管はこれまで国政選挙などに合わせた「模擬選挙」と、福島大生を候補者に見立てる「未来の知事選」の二つの模擬選挙を実施している。2016(平成28)年に選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公選法が施行されて以降、県内の高校は「未来の知事選」を積極的に展開。17年度は44校の約7930人が参加し、同事業が始まった12年度の実施校(1校、約240人)に比べ大幅に増えた。本年度も既に33校(5月10日現在)が実施を決めている。

 より実践的な今回の模擬選について、県教委は「身近で具体的な事象を教材として学べる貴重な機会。生徒が自分の判断で選挙権を行使できるよう取り組む」(高校教育課)としている。

 19歳の低投票率目立つ

 県選管によると、18歳選挙権が国政選挙で初めて適用された16年7月の参院選の県内投票率は18歳が46.78%、19歳が35.80%と、全年齢の57.12%を下回った。17年10月の衆院選でも県内投票率56.69%に対し、18歳は49.97%、19歳は27.96%と10代の投票率は低い傾向にあり、特に19歳の低投票率が課題だ。

 進学などで住民票を移さないまま地元を離れた人が投票しないケースなどが投票率の低下に影響しているとみられるが、県選管はこうした状況から、早い段階から実践的な主権者教育を行うことで政治や選挙への関心を高め、社会の一員としての意識を醸成することが必要とみている。