立候補予定4氏、復興など政策訴え 福島県知事選・公開討論会

 
告示を控え、公開討論会で政策を示した各立候補予定者=8日、福島市

 11日告示、28日投開票の知事選で、立候補を予定している4氏による公開討論会が8日、福島市で開かれた。いずれも無所属で、現職の内堀雅雄氏(54)=福島市、新人で共産党県委員長の町田和史氏(41)=同、新人で自営業の金山屯氏(78)=白河市、新人でIT関連会社経営高橋翔氏(30)=葛尾村=の現新4氏が出席。復興や風評被害対策、防災・安全、地方創生などをテーマに、それぞれの政策や主張を訴えた。日本青年会議所(JC)東北地区福島ブロック協議会の主催。「ふくしまの未来選択」を総合テーマとした公開討論を、約100人が聴講した。

 交通整備や企業支援

 【震災・復興】内堀氏は、交通インフラ整備など帰還促進に向けた広域的な課題解決に加え、新技術や新産業の創出を通じて雇用を生み出し、避難地域の復興を進めていくと訴えた。

 町田氏は、地域循環型の経済や住民参加型の復興、持続可能な発展という考え方を重視し、県民の暮らしや福祉、中小企業を直接的に応援することが県民の幸せにつながると主張した。

 金山氏は復興施策の軸として、郡山市への県庁移転を進めると強調した。高橋氏は長期的視点に立った復興に向け、教育や人材育成が重要だと訴えた。

 有事対応の体制強化

 【防災・安全】内堀氏は有事の際、迅速に対応できる体制の充実・強化のほか、自助・共助の取り組みも重要と指摘。セミナーなどを通じ防災意識の高揚に継続して取り組むと主張した。

 町田氏は、原発事故などのベースに合った企業や行政の安全神話を一掃すると強調。信頼される行政が重要とし、「ご意見箱」を設置するなどして県民との距離を近づけていくと訴えた。

 金山氏は郡山市への県庁移転で平和都市をつくるのが防災に適していると主張。高橋氏はテクノロジー整備に加え、自己防衛の意識を高めていくと訴えた。

 子育て支援、福祉充実

 【人口減】内堀氏は子育てのワンストップ相談窓口の設置促進や18歳以下の医療費無料化の継続を主張。待機児童解消に向けた保育所整備や保育士の就労支援に取り組む考えも示した。

 町田氏は子育てを中心に介護や医療など県民の暮らしを応援する施策の重要性を強調。給食費の全額補助を県内全市町村に広げることや返済不要の奨学金制度の充実などを訴えた。

 金山氏は東北新幹線を活用して首都圏などに通勤・通学する人への支援、高橋氏は外国人を本県に呼び込む魅力づくりや受け入れ態勢の構築を対策に挙げた。

 地方創生へ経済施策

 【地方創生】内堀氏は新産業集積の活力を県全域に波及させるための中小企業の振興に取り組む決意を強調。「若者の地元定着や新たな人の流れを生み出す施策を展開する」とした。

 町田氏は国主導によって自治体間の競争が激化していると問題点を指摘。地域のペースや事情を踏まえた地方創生を訴え「地域で経済が循環することが重要だ」と展望を語った。

 金山氏は郡山市を中心とした県人口200万人維持の実現を呼び掛け、高橋氏は雇用を生み出す起業家らに対する集中的な資金と人的な支援を重要視した。