【福島県知事選・最前線ルポ】浜通り イノベ対立軸に復興の道筋

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 人影まばらな双葉郡を走る遊説カーから復興を訴える声が響く。「(双葉郡は)まだまだ日が差しているわけではない。曇り空も雨も多く、雪も降る」。避難指示が解除されて間もない地域で、一人の候補者が訴えた言葉が避難地域の現状を物語る。

 双葉郡内で街頭演説に耳を傾けていた60代男性は「少しずつ人が戻ってはいるが...。土日はさらに人がいなくなる」とつぶやいた。原発事故の避難指示が帰還困難区域を除くほとんどの地域で解除されてから1年半が経過。住民の帰還は徐々に進んでいるが、大熊、双葉両町を除く9市町村の旧避難区域に戻った住民の割合(帰還率)は20.8%にとどまる。

 それでも現職の内堀雅雄は初陣だった4年前と同様、告示日に相双地方に入り、街頭演説で復興施策を訴えた。「避難指示が解除されても道のりはまだまだ。さまざまな施策を打っていかなければならない」。避難地域の復興再生を公約の最重点施策と位置付け、復興施策の継続を強調。浜通りを新産業拠点とする福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想については、これまで集積を図ってきた産業や研究によって生み出された先端技術を地元の振興につなげるため、構想の「進化」を提唱する。

 新人の町田和史は、イノベ構想をはじめとする現県政の復興施策に批判を強める。「イノベーション・コースト構想などの大規模開発には昨年も今年も700億円もの税金をつぎ込む一方で、避難している県民への住宅提供は打ち切ってしまう。県民の福祉も生活応援も遅れたままだ」と主張。同構想の見直しなどを公約に掲げ、現職との対立軸を鮮明に打ち出す。

 新人の金山屯は現県政の復興施策の進捗(しんちょく)度を疑問視し、刷新を訴える。高橋翔は「浜通り原発観光地計画」の推進を提言する。

 震災から7年7カ月が経過し、県民が抱える課題は複雑、多様化している。住民帰還を巡っては、双葉郡内の町村間でも差があるのが現状だ。街頭演説を聞いた男性は「戻る、戻らないはそれぞれの考え方がある。復興を進めるには、外から人を呼び込むことをもっと重視する時期にきているのでは」と提起する。震災、原発事故以降、さまざまな思いを抱える有権者たちは、「復興」を連呼する候補者に、その言葉の裏付けを求めている。(文中敬称略)

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 1期4年の内堀県政の評価と2020年度の復興・創生期間終了を見据えた今後の復興の在り方などを争点に論戦が始まった知事選。4人の候補者がそれぞれ復興の加速化や地方創生の実現などを訴える中、有権者は県政に何を求め、どのような理由で判断するのか。選挙の最前線を追った。

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