福島県議選『自粛ムード』...悩む陣営 心情配慮で手探り選挙戦

 
台風19号による浸水被害を受けたいわき市の平四小近くに設置されたポスター掲示板。校庭では陸上自衛隊が被災地支援の浴場を設置していた=29日午後

 台風19号などの影響が続く中、31日に告示される県議選は、立候補予定者や各陣営にとって手探りの状況で挑む選挙戦となりそうだ。予定していた街頭演説や集会の中止に加え、被害が大きかった選挙区では「自粛ムード」を背景に選挙カーの自粛を検討する陣営も。各陣営は災害直後の選挙戦の難しさに頭を悩ませている。

 台風19号の浸水被害が拡大した郡山市。自身の事務所も床上浸水した現職は「有権者が生活再建を急ぐ中、選挙の話をするムードにはなかなかならない」と話す。「被災状況で有権者の意識の差が顕著になっている。地域によって求められる政策が違ってきているのでは」と課題の多様化を実感。須賀川市・岩瀬郡の新人も「被災者の心情をくむと投票行動を促すのはためらわれる」とこぼす。

 「台風と大雨の影響は大きい。従来のやり方では反感を買う可能性がある」。いわき市で立候補を予定する新人の陣営は、複雑な住民感情を注視する。同市では浸水被害で車が水没、日常の足を失っている市民も多い。被災地では選挙カーを使わず、徒歩で支持を訴えることも検討。ただ「(台風の影響で)投票率が下がれば、それだけ厳しい戦いになる」と、新人ならではの不安も口にする。

 郡山市やいわき市などと比べて被害が少なかった地域でも、各陣営が戦術の練り直しを強いられている。福島市の現職は台風直後の住民感情に配慮し、15日に予定していた街頭演説を中止した。告示後は通常通りの選挙戦を展開して「災害に強い町づくりのあり方を訴える」と話すものの、浸水した住宅や事業所前での演説、被災住民への支持拡大の方法については結論が出ていないという。「その場に応じて検討、対応していくしかない。地域課題に応じた訴えが必要という意味では、通常の選挙と同じだから」と力を込めた。