大熊町長に現職・吉田淳氏再選 1期目実績、幅広い町民の支持

 
再選を決めて万歳する吉田氏(中央)。妻春美さん(左)と長男哲さん

 任期満了に伴う大熊町長選は12日、投開票が行われ、現職の吉田淳氏(67)=無所属、1期=が元兵庫県議の会社役員小西彦治氏(52)=無所属=を2913票差で制し、再選を果たした。任期は20日から4年。

 昨年6月の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除後、初の町長選。吉田氏は1期目の実績を基に、安心して暮らすためのインフラ整備や帰還困難区域の解消、帰還できない町民への支援策などを訴え、幅広い支持を集めた。

 投票率は45.34%で、過去最低だった前回の2019年を7.66ポイント下回った。当日有権者数は8377人(男性4165人、女性4212人)。当選証書付与式は13日、町役場で行われた。

◇大熊町長選開票結果(選管最終、敬称略)
当3,307 吉田  淳 67 無現
   394 小西 彦治 52 無新

 託された再生のかじ

 【戦いの跡】大熊町長選はJR大野駅周辺の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が昨年6月に解除後初めて行われ、本格的な町の再生に向けたかじ取り役を誰に託すのかが問われた。町政継続による復興の加速化を訴えた現職の吉田淳氏が有権者の信任を得た。

 直前まで無投票の公算が大きかったが、告示前日に新人で元兵庫県議の小西彦治氏が立候補を表明し、一転して選挙戦となった。

 吉田氏は町内での遊説や後援会を生かした組織戦で政策を訴えた一方、小西氏は目立った選挙活動を行わなかった。町議選とのダブル選にもかかわらず、盛り上がりに欠け、投票率は過去最低の45.34%だった。

 避難の長期化により町民の帰還の動きは鈍いものの「故郷とのつながりを保ちたい」と願う町民は多い。若年層を中心にした新たな活気も生まれている。新生大熊町の姿をどう描くか、吉田氏のリーダーシップが求められる2期目となる。