9年半、止まった時計 震災遺構整備の請戸小、生々しい爪痕今も
東日本大震災の教訓を後世に残すため、県内初の「震災遺構」として整備される浪江町の請戸小が4日、報道機関に公開された。震災による津波で天井裏の鉄骨が鋭くむき出している校舎、針が午後3時37分を指して止まったままの時計-。生々しい爪痕が9年半前の記憶を伝えている。
震災遺構の整備のため、町が今月中旬に学校の内外装工事に着手するのを前に、震災の風化防止と工事前の姿を発信してもらおうと町教委が企画した。
町教委によると、2階建ての校舎は1998(平成10)年3月、海岸から西に約300メートルの沿岸に完成、開校した。
震災の津波で2階の床まで浸水し、1階は建具や内装などがことごとく破壊された。震災発生時に下校していた1年生を含め、全校生徒93人は教職員が誘導して近くの高台に避難させるなどし、難を逃れた。
校舎には津波到達時刻の「午後3時37分」で時計の針が止まったままの電気設備複合盤、浸水で押し上げられて天井に突き刺さったままの書類、泥まみれのパソコンなど、猛威を振るった津波の爪痕が残る。
震災遺構は来年度に完成する予定で、1階には震災当時の教職員や児童らの避難状況などが展示される。2階では、被災後の地域の状況や原発事故の影響などの資料を展示予定。管理棟も整備し、学校の沿革や地域の様子など被災前の姿をパネル展示する。
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