裁判官が福島第1原発「初視察」 敷地内、東京地裁の裁判長ら

 

 株主が東電の旧経営陣に損害賠償を求めている株主代表訴訟で、東京地裁の朝倉佳秀裁判長らは10月末、福島第1原発の敷地内を視察した。集団訴訟では、これまで原発周辺を視察したことはあるが、裁判官が敷地内に入るのは初めてとなった。

 原告側代理人は敷地構造が津波に弱いと主張しており、これを立証しようと裁判所に視察を求めてきた。原告側代理人によると、朝倉裁判長は「写真だけでは現地の状況が分からないため、立体的に見たい」と話し、視察が実現した。一行は浸水箇所や防潮堤の位置などを確認した。朝倉裁判長は持参した図面を持ち「実際に見ると迫力がある」と事故前後の対策に関心を示していたという。

 原告側代理人は「適正な判決を下したいという表れではないか」と評価する。「現地を見ずに判決を下して社会は納得しない。これまで現場を見てこなかったほかの裁判所は二審で見直すべきだ」と指摘した。