【4月9日付編集日記】そんなに慌てず

 

 桜にまつわる「600度の法則」をご存じだろうか。2月1日から毎日の最高気温を足していくとちょうど600度に達した頃、ソメイヨシノは開花日を迎えるという

 ▼ちなみに福島市の今月3日の開花日前日までの最高気温を積算すると639度。暖冬にもかかわらず、3月下旬からは足踏みした印象だが、うるう年で2月が1日多かったことを踏まえると、法則の精度は高いようだ。それだけ桜は日々の気象の変化に敏感で、繊細なのだろう

 ▼おととい、県北地方の桜の名所は観光客でにぎわっていた。25度を超える今年初の夏日となり、数日前に咲き始めた木々が一気に満開になったようだ。標高が高く、例年ならば開花が数日遅い、山あいの木々も咲き誇っていた
 
▼気象庁によると、4月1日までに開花する地域はかつて関東南部や近畿などだったが、最近は関東北部や北陸まで北上している。全国一斉に開花する傾向にもあるという。確かに先週末、都内から新幹線で北上したが、車窓から望む桜は、どこも満開だった

 ▼温暖化で開花時期が早まるだけでなく、すぐ満開になり、見頃を終える。そのはかなさが美しさを際立たせるかもしれないが、慌てず、ゆっくりと楽しみたい。